ニイハオ!今日は重慶郊外にある大足石刻を観光します。
中国の重慶市大足区に位置する大足石刻(Dazu Rock Carvings)は、7世紀から20世紀にかけて彫り続けられた仏教、道教、儒教の三教が融合する石窟寺院群です。1999年にはユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されました。主な見どころは北山、宝頂山、南山、石門山、石篆山の5か所に分かれており、なかでも宝頂山にある全長31メートルに及ぶ釈迦涅槃像や、1007本の手を持つとされる千手観音像は、保存状態が良い彫刻として知られています。
これらの石刻は、唐の時代から始まり、宋の時代に全盛期を迎えました。崖面に直接彫り込まれた彩色豊かなレリーフは、当時の宗教観だけでなく、人々の生活習慣や服装といった世俗的な風景も詳細に映し出しています。
これまで訪れた雲崗石窟や龍門石窟などは当時の王朝が国力を注ぎ込んで造った「官営」の石窟。そのため、巨大な仏像が「皇帝=仏」であることを象徴するような、圧倒的な威圧感と権威があります。
一方、今回訪れる大足石刻は数百年ほど後の時代のより民衆や地方に近い場所。もともとは一地方官から始まり、その後 一般の信者たちによって石窟が徐々に拡大していったんだそう。
大足石刻はいくつか観光エリアがありますが、今回は特に有名な宝頂山と北山を回ることにしました。
重慶から大足へ
重慶から大足へのバスは北バスターミナル(重庆北站南广场汽车站)から発車します。だいたい一時間に一本くらいで所要時間は一時間半ほど。
僕は7時半のバスに乗るため、地下鉄でバスターミナルのある重慶北駅へ向かいます。
ホテルがある重慶西駅から重慶北駅までは環状線で行けるはずなのですが、重慶の地下鉄は朝が遅いのかこの時間だとまだ動いていません。結局、動いている路線を2回乗り換えて重慶北駅に向かいます。
重慶北駅からバスターミナルへは地下道でつながっています。

窓口で大足へのバスチケットを購入。44元(約880円)。


9時過ぎに大足のバスターミナルに到着。途中で少し雨が降りましたが、大足に着く頃には止んでいました。

大足は石刻しかないしがない街かと思いきや、高層住宅が立ち並ぶ大都会です。
宝頂山
宝頂山(Baodingshan)は大足石刻(Dazu Rock Carvings)を構成する最も主要な石窟群です。南宋時代の1174年から1252年にかけて、僧侶の趙智鳳によって指揮・設計されました。ここは他の石窟寺院とは異なり、U字型の崖面に沿って仏教の教えが物語形式で配置されている点が特徴です。
敷地内には約31メートルに及ぶ「釈迦涅槃像」が横たわり、膝から下の部分は岩の中に隠れるような設計がなされています。また「千手観音像」は、実際に1,007本の手が彫り込まれており、金箔による修復が施されています。これらの彫刻群は排水システムが岩の背後に隠されており、水滴が仏像にかからないよう工夫されているため、800年以上が経過した現在でも鮮明な色彩と細部が保たれています。石刻の主題は六道輪廻や父母恩重経など、仏教の道徳観や当時の庶民の生活を反映したものが多く、中国における石窟芸術の最後を飾る傑作として位置づけられています。
宝頂山は街の北東郊外にあるため、少し歩いて路線バスの停留所へ。ちょうど宝頂山へ向かう205路バスが来ていたので乗り込みます。
大足も重慶市内のはずですが、Alipayの重慶市バスカードは使えません。WeChatから重慶交運というところのQRを作って支払います。3元(約60円)。

車内はお年寄りでにぎやかです。バスは30分ほどで宝頂山の遊客中心(観光センター)に着きました。

遊客中心でチケットを購入。いくつか種類がありますが、宝頂山と北山のセットチケットで150元(約3,000円)、宝頂山のみなら130元です。
遊客中心から石刻へはまた少し距離があるため、観光バス→観光車と乗り継いで向かいます。この意味のない乗り換えなんなんだ……?



宝頂山は大足石刻のなかでもちょっと特殊で、一人の僧侶によって全体がプロデュースされたエリアです。当時の社会に即した「わかりやすい教え」を広めるためにストーリー仕立てで設計されており、全体に生命感というか躍動感が漲っています。


たまにかわいいのもいます。


大足石刻で最も有名な六道輪廻図。生き物が生まれ変わる6つの世界を表しています。

六道輪廻図を抱え込むのは転輪王(無常大鬼、時間をつかさどる鬼)で、避けることができない時間の流れを表していると言われているそう。


これは物凄い見応えがあるな……。
作成者の趙智鳳は観覧順路やそこからの見え方も考えて全体をデザインしたそうで。まんまとその思惑にハマってしまっています。


北山
北山(Beishan)の造営は、唐時代末期の892年に地方官であった韋君靖によって始まり、その後の五代、宋代にかけて約250年の歳月をかけて続けられました。北山の彫刻は、宝頂山の壮大なスケール感とは対照的に、細密で優美な彫琢が施されている点が特徴です。
崖面に沿って約300もの石窟が並んでおり、その中には数千体の仏像が安置されています。特に第136号窟の「転輪経蔵窟」は、宋代の石彫芸術の到達点とされており、緻密に彫り込まれた経蔵や菩薩像が当時の彫刻技術の高さを現代に伝えています。また、北山の仏像は保存状態が非常に良く、当時の彩色が一部に残っているものもあり、仏教美術の変遷を辿る上で極めて貴重な資料となっています。
北山は大足の北西郊外にあり、宝頂山からは少し離れています。宝頂山から北山へは自力で移動する必要があります。
百度地図で調べると宝頂山と北山を結ぶバスが一時間に一本くらいあり、次の便は11:30。しばらくバス停の前で待ちますが一向に来ません。
結局、12時前に諦めてDiDiでタクシーを呼んで北山へ向かいました。北山へは15分ほどで約22元(約440円)。

北山も官営ではない民間の石窟ということで、わかる人にとっては雲崗や龍門とは全然違うのでしょうが……宝頂山が強烈すぎてむしろ昔ながらの石窟に見えます。


もっとも、素人目にも造形は細かい。雲崗や龍門が固い石灰岩に彫られたのに対して、大足は砂岩のため細かい彫刻がしやすく、そこに宋代の写実性が反映されたことが一因だそう。


北山から大足バスターミナルを直接結ぶバス路線はなく、乗り換えが必要そうだったためタクシーで(7元、約140円)。13時発のバスで重慶へ帰りました。
癒しのすき家。大都市だと日本の牛丼チェーンも結構あります。

明日は成都へ移動します。



