ランタン渓谷トレッキング (2026/5/23-29)

ネパール

ナマステ!今日からランタン渓谷トレッキングに行ってきます。

ランタン渓谷(Langtang Valley)は、ネパールの首都カトマンズの北約80キロメートルに位置するヒマラヤの渓谷です。

イギリスの探検家ビル・ティルマンが「世界で最も美しい谷の一つ」と評したことで知られています。ネパール初の国立公園であるランタン国立公園内にあり、北側は中国チベット自治区と国境を接しています。標高7,234メートルのランタン・リルンをはじめとする高峰がそびえ、野生のレッドパンダが生息する自然環境が保護されています。

地域には主にチベット系民族のタマン族が暮らし、チベット仏教の独自の生活様式や寺院が維持されています。また、1950年代にスイスの協力で導入されたヤクのミルクによるチーズ製造が現在も行われており、地元の名産品となっています。2015年のネパール地震により大きな被害を受けましたが、復興作業を経てトレッキングルートや宿泊施設が再建されています。

ツアー手配

ランタン渓谷へは個人ツアーを手配しました。

過去にはガイドなしでも行けたのですが、2023年4月からネパール観光局によって外国人の単独トレッキングが全面的に禁止され、公認ガイドの同行が完全義務化されています。

これは、山での遭難事故や行方不明者の増加を防ぎトレッカーの安全を確保すること、そして現地に雇用を生み出すことを目的として導入された制度です。

もっとも、実際行ってみるとガイドなしで歩いている外国人もちらほらおり、そこまで厳格に運用されているわけではないようです。体感、ガイド付きとソロで半々くらいの感じでしょうか。

ツアーはガイドとポーター1名ずつに、トレッキング中の宿泊や食事など全部込みで890USD(約14.2万円)。

トレッキング日程はこんな感じです。

  • 1日目: カトマンズからシャブルベシへ (ジープ)
  • 2日目: シャブルベシから Lama Hotelへ (徒歩)
  • 3日目: Lama Hotelからランタン村へ (徒歩)
  • 4日目: ランタン村からキャンジンゴンパへ (徒歩)
  • 5日目: キャンジンゴンパからキャンジン・リへ登頂 (徒歩)
  • 6日目: シャブルベシへ (徒歩)
  • 7日目: シャブルベシからカトマンズへ (ジープ)

実際にトレッキングをするのは5日間。ツアーには拠点への移動とその前後のカトマンズでのホテル泊が含まれます。

通常、トレッキングの拠点となるシャブルベシという街まではローカルバスで移動するのですが、かなりの悪路で混雑するとのこと。

トレッキング前後に体力を消耗したくなかったので、往復の移動手段としてプライベートジープを280USD(約4.5万円)で手配しました。

5/23 カトマンズからシャブルベシ (1462m) へ移動

この日はツアー会社手配のWoodappleというホテルに泊まってました。普通に泊まると1泊6,000円〜7,000円ほどする、なかなか綺麗で良いホテルです。

朝起きてみるとなんだか身体が重い……。一日目から体調不良です。ホテルについている朝食もちょっとだるくて食べられませんでした。

プライベートジープのピックアップ時刻は8時。

本当に歩けるのか不安がよぎりますが、とりあえず今日の目的地であるシャブルベシまでは車に乗っているだけなので、行ってから考えることにしました。

カトマンズからシャブルベシまでは、以前チベット・ネパール国境からカトマンズへ移動したときに通った道をそのまま逆戻りする形です。

シャブルベシまでは距離にすると200km弱。ですが道路状況がとにかく悪いため、所要時間は約6〜7時間もかかります。特に後半はガタガタに荒れた未舗装の山道で、車体が激しく跳ねるほど揺れます。

車内では起き上がっていることもできず、後部座席でほとんど横になって寝ていました。ローカルバスではなく、プライベートジープにしておいて良かった。もしバスだったら初日の時点で脱落していました。

ひたすら揺れに耐え続け、夕方にようやくシャブルベシに到着。交通の要衝ですが、人口は二千人ほどの小さな村です。

この日の宿は最低限のベッドとシャワーがあるだけのシンプルなホテルでした。体力を回復させるため、この日はすぐに泥のように眠りにつきました。

5/24 Lama Hotel (2,500m)へ

いよいよ今日からトレッキング開始です。

シャブルベシの全景

朝起きてみるとだるさはなく歩けそうな感じです。一日で治ってよかった。

シャブルベシからはランタン川に沿って緑豊かな谷間をなだらかに登っていきます。

昔行った超メジャーな「エベレスト街道」と違い、トレッカーの数は少なく静かです。見かけるのはほとんどネパール人国内旅行者で、外国人は1~2割といった感じでしょうか。

標高がまだ低いためかとにかく暑い。登りになると汗がじんわりと吹き出します。

途中のティーハウスで休憩がてらミネラルウォーターを購入。まだ山に入ったばかりですが、すでにボトル1本250Rs(約260円)と山価格です。

ガイドは「俺らは生水でも平気だぜ!」と言ってその辺で汲んだ水を飲んでましたが、翌日腹を壊していました。

ネパール人でも腹壊すんだな。都会と山では水の中にいる雑菌が違うとかで耐性ないんだろうか。

12時前にBambooという集落に到着して昼食休憩です。

Bambooを過ぎたあたりから、徐々に傾斜がきつくなり、本格的な登り坂が増えてきました。

今日はトータルで約1,000mほど標高を上げることになりますが、細かいアップダウンもあるので、実際の獲得標高はもう少し多そうです。もっとも、歩くペースはゆっくりなのでそれほどきつくはありません。

15時前に本日の目的地である「ラマホテル(Lama Hotel)」に到着。ここには名前の通りLama Hotelをはじめ、いくつかのティーハウス(ロッジ)が集まっています。

宿泊先はシンプルなティーハウスですが熱々のホットシャワーもあり快適です(200Rs)。トレッキング中はシャワーなしかと思ってたのでこれは嬉しい。

ネパールの山小屋(ティーハウス)は、宿泊料金が1泊700〜1,000ルピー(約730円〜1,050円)と格安に設定されている代わりに、「夕食と翌朝の朝食は必ずその宿で食べなければならない」というルールがあります。

食事の料金は標高が上がるにつれて高くなっていきますが、宿泊費+食費で一日3,000~5,000Rs程度みておけば十分だと思います。

5/25 ランタン村 (3,430m)へ

昨日に続き今日も1,000メートル近く標高を上げます。

前半は昨日と同じような登り坂が続きます。

しばらく歩くと一気に視界が開けて、ダイナミックな谷の景色が目の前に広がりました。

そのまま素晴らしい景色を眺めながら歩き、昼過ぎに「ランタン村(Langtang Village)」へ到着しました。

谷の左側に見えるのがランタン村

実はこの村、2015年のネパール大地震の際、背後にあるランタン・リルンから発生した大規模な雪崩と土砂崩れによって、村全体が完全に飲み込まれてしまうという悲劇に見舞われました。

村近くの土砂崩れ跡

200名以上の尊い命が失われ、かつての村は今も巨大な岩石の彼方に眠っています。現在の集落は、その旧村から100mほど高い安全な位置に、力強く再建されたものです。

この日泊まったティーハウスの部屋には、なんと部屋専用のプライベートシャワーが付いていました。

一応Wi-Fiの設備もあるとのことでしたが、この日はあいにく地域一帯が停電していたため使えませんでした。特にランタン村から先では停電が多いようです。

夕食のチキンヌードル。ネパールの袋麺にスパイスやらで味を調えたもので、チキンといいつつ鶏肉は入ってません。ただのチキン味のヌードルスープです。

5/26 キャンジンゴンパ (3,798m)へ

4日目は、いよいよこのトレッキングのハイライトであり、実質的なゴール地点でもある「キャンジンゴンパ(Kyanjin Gompa)」へと向かいます。

距離も短く、標高差もこれまでと比べれば緩やかなので今日は楽そう。

谷の向こうに雪を被ったヒマラヤの山々が見えます。この辺の景色が一番よかった。

ほぼフラットな山道を歩いて、昼前にはキャンジンゴンパに着きました。

今日宿泊するのはYeti Guesthouseというところ。昼食時間帯は食堂が満席で、これまでのティーハウスと比べても混んでいます。

ここも部屋にはプライベートシャワーがついており快適です。

ガイドによるとこのティーハウスが一番まともで安いらしい。宿泊料とかは村全体で協定価格があるのかと思いきやそうではないようです。

トレッキングの終点だけに物価も最も高く、コーラ500mlで800Rs(約830円)、水1.5Lで580Rs(約600円)ととんでもない金額です。 

標高が上がってきてちょっと寒くなってきました。ネパールの山小屋に泊まると絶対に頼んでしまうのが「Ginger Lemon Honey(ジンジャー・レモン・ハニー)」。これを飲むと一気に体がポカポカと温まります。

ティーハウスのスタッフが目分量で適当に混ぜて作っているので、同じ宿でも人によって結構バランスが違います。僕は生姜がゴロゴロとそのまま入っているタイプが好きで、最後にその生姜をスプーンで掬って食べるのがお気に入りです。

5/27 キャンジン・リ (4,400m)へ

今日は近くの展望スポットであるキャンジン・リに登ります。

ガイドとは5時に待ち合わせています。時間になりティーハウスの玄関に出ると、すでに太陽が昇り始めて明るくなっていました。

が、しばらく待ってもガイドが来ません。10分待ち、20分待ち、5時半ごろになって「もう一人で行こうか」と考え始めたころにようやくガイドがやって来ました。

僕も若干不機嫌になっていたのですが、ガイドは謝るでもなく「周りのネパール人たちがうるさくて眠れなかった」とかなんとか言い訳しています。外国人相手のガイドでこのコミュニケーションスタイルはすごいな。

ここからのルートは、これまでのなだらかな道とは一転して急な登り坂です。もっとも、頂上は見えており歩けば着くので精神的にはそこまで辛くはありません。

僕はチベットで高度順応できていたので問題ありませんでしたが、標高上げるペースが早いので順応できてないと結構きついと思います。

何度か休憩をはさみつつ登り続け、出発から1時間15分ほど頂上に着きました。頂上からは7,000m級の白き神々が目の前に立ちはだかり、360度の圧倒的な大パノラマが広がっていました。

周辺には同じくキャンジン・リと呼ばれるピークがいくつかあり、今回登ったのは一番簡単なLower Peakと呼ばれるところ。標高は4,400メートルほどです。

この稜線の先にあるのがHigher Peak

頂上からの絶景をしばらく堪能した後、キャンジンゴンパへ帰りました。

この後は荷物をまとめて下山します。何時間か歩き、シャブルベシまでのほぼ中間地点にあるティーハウスへ到着。

ここでもチキンヌードルを頼んだのですが、材料となる袋麺がないらしい。かわりのメニューを頼もうとしたら、「リアルチキンヌードルでもいい?」みたいなことを言って鶏を〆だしました。命の恵みに感謝しながら美味しくいただきました。

5/28 シャブルベシへ

この日も引き続き山を降って、昼過ぎにシャブルベシに到着。

予定ではシャブルベシでもう一泊してカトマンズへ帰るはずだったのですが、ちょうどインド人のカイラス巡礼のシーズンが始まったところで今日は数百人がシャブルベシに滞在しているらしい。

目当てにしていたホテルがガイドの不手際で確保できておらず、別のホテルを探すことに。あんまりこういうこと言いたくないが、このガイド微妙だな……。

多少ミスっても一言 謝って建設的な話をしてくれればいいんですが……ひたすら言い訳ばかりで会話にならないのはコミュニケーションスタイルがかみ合いません。

結局シャブルベシでは代わりのホテルが見つからず、隣のThulo Bharkhuという村に泊ることに。ここはシャブルベシへの山道の途中にある、宿が2軒ほどの小さな村です。

設備自体はシャブルベシのシンプルな宿とさほど変わりません。個人だとこんな謎の村に泊まることはないのでいい経験でした。

5/29 カトマンズへ帰還

最終日の7日目。

迎えに呼んでもらったプライベートジープに乗り込み、再びガタガタ道を揺られながらカトマンズへの帰路につきました。

初日は体調不良で不安でしたが、無事最後まで歩き切れました。

エベレストのようなメジャーなエリアと比べるとトラッカーが少なく。じっくりとヒマラヤの大自然と向き合うことができます。

派手な観光地化はされていませんがホットシャワーなど設備はそこそこ整っており、比較的短い日程で歩けるので初めてのトレッキングにも良さそうです。