パオトウ(包頭)からチンギス・ハン陵を日帰り観光(2025/7/26)

中国

今日はパオトウ(包頭)からオルドス(鄂尔多斯)のチンギス・ハン陵を日帰り観光します。

チンギス・ハン陵(成吉思汗陵)は実際の墓所ではなく、チンギス・ハンを追悼・祭祀するための記念施設です。

、この地にはもともと「八白室(ハス・オトゴン)」と呼ばれる移動式の祭祀施設があり、成吉思汗の遺物や御座を安置して遊牧民が移動とともに祀っていました。

現在の陵は1954年から1956年に中国政府によって再建され、モンゴル伝統建築を模した白いドームと青い琺瑯瓦が特徴です。文化大革命で破壊されましたが、1980年代に修復されました。

毎年、旧暦の三月二十一日には「成吉思汗祭」が盛大に行われ、ダルハド族が中心となって伝統衣装で儀式を執り行い、乳酒を供え、馬頭琴や舞踊が奉納されます。この祭典は内モンゴル自治区の重要無形文化遺産に指定され、現在も成吉思汗信仰とモンゴル文化の象徴として続いています。

チンギス・ハン陵のモンゴル語表記は“Чингис хааны онгон”です。“онгон(オングン)” はシャーマニズムや祖霊信仰に由来し、墓ではなく「霊が宿る神聖な対象」 や 「祖先の霊を祀る場所・象徴」 を意味します。ですので、正しくはチンギス・ハン記念堂みたいな感じでしょうか。

チンギス・ハンの本当の墓は未発見ですが、モンゴルのブルハン山にあると言い伝えられています。

昔のテレビ番組で埋葬場所の謎に迫るものがあり、子供の頃ながら今でも印象に残っています。どこに埋葬されたかわからないよう棺とダミーを別々の方向に引いて跡を消し、出会った人々や埋葬に携わった兵士をすべて殺したみたいな逸話が紹介されていました。恐ろしすぎる(この逸話自体は後世の創作という説が有力)。

チンギス・ハン陵への行き方

チンギス・ハン陵は今いるパオトウの南のオルドス郊外にあります。

百度地図で行き方を調べると様々な方法が出てきます。とても全部はまとめきれませんが、大きくは鉄道かバスでオルドスまで行き、そこから路線バスに乗るのが一般的なようです。

  • 鉄道(普通列車)の場合:
    • パオトウ駅が拠点
    • 到着するオルドス駅からチンギス・ハン陵までは30kmくらいで比較的近い
    • チンギス・ハン陵への路線バスに乗り継ぎやすい
    • バスと比べて早朝から夜間まで列車がある
  • 郊外バスの場合:
    • パオトウ東バスターミナルが拠点。パオトウからもバスはある
    • 到着するオルドス東生区のバスターミナルからチンギス・ハン陵までは70kmくらいで結構遠い
      • 空港行きや陵近くのホテル行きなどより便利なバスもあるが本数が限られる

オルドスから陵まで路線バスで行く場合、路線バスが到着する東南門付近から陵のある北西門付近までは4-5kmあります。園内を歩くか、観光車(30元?未確認)に乗る必要があります。

個人的には鉄道でオルドス駅まで行き、そこからタクシーに乗るのが簡単だと思います(DiDiで片道110元くらい)。

チンギス・ハン陵へ

郊外バスでオルドスへ

僕も鉄道でオルドスまで行こうとしていたのですが、当日の列車はすべて雨の影響で運休になってしまいました。

鉄道のチケットはTrip.comで購入し、手数料込みで900円くらい。先日の記事にも書いた通り返金にも手数料がかかるのにくわえ、予約手数料は返ってきません。結局、返金されたのは100円ほどです。つらい。

仕方がないので郊外バスでオルドスまで移動します。

まずは、昨日と同じようにタクシーでパオトウ東バスターミナルへ(7.5元、約150円)。

百度地図によるとオルドスへのバスは9時始発なのですが、地球の歩き方(2019–2020版、現時点で未改訂)当時はもっと早い便があったようなので一応早めに向かいます。

バスターミナルは停電から復旧しており、少し並んでオルドス行きのバスチケットを購入(34元、約640円)。始発はやはり9時のようです。

しばらく薄暗いターミナルで待っていると、プラットフォームの前でなにやら揉めている声が聞こえます。乗客と係員のトラブルかと思ったら係員同士の言い合いでした。議論とかではなく、ちょっと引くくらいのガチ喧嘩です。いや裏でやってくれ。

出発時間が近づいてもオルドス行きの改札が始まらないので係員に聞いてみると、「東生(东胜)」行きのバスに乗るように言われます。

この時点ではよくわかっていなかったのですが、オルドスのバスターミナル(鄂尔多斯客运总站)はオルドスの東生区にあります。バスチケットにも「东胜」行きと印字されていました。チケットを購入する際に、係員から「駅(帖)か?」と確認されたので、てっきりオルドス鉄道駅まで行けるかと思っていました。

改札しバスに乗り込みます。窓側席はすでに埋まっていたので通路側席へ。チケットには席番号が書いてありますが、バスの座席には番号表示がないため自由に座って良い形です。

バスは定刻通り9時に発車。

しばらく走って、9:40くらいに黄河を渡ります。僕と同じようにキョロキョロしてる人が多いです。乗客はパオトウかオルドスの市民ばかりかと思っていましたが観光客もちらほらいるようです(外国人はたぶん僕だけ)。

2時間ほどでオルドス東生区のバスターミナルへ到着しました。

東生バスターミナルからチンギス・ハン陵へ

陵へのバスに乗るためには、まずオルドス南西側の伊金霍洛(イジンホロ)区に出る必要があります。

バスターミナルからは333路に乗れば良さそう。バスターミナル前の停留所で待っていると、ちょうど333路が目の前を通過していきました。どうもターミナル前の停留所からではなくターミナルの駐車場から発車するバスだったよう。

次の333路はかなり時間が空くため路線バスを乗り継いでいきます。少し離れた幹線道路からであれば伊金霍洛(イジンホロ)へ行くバスが10分おきくらいにあります。

11路-321路と乗り換えて1時間ほどで伊金霍洛(イジンホロ)の京典佳园というところまで行けました(5元、約100円)。

ここからもう一本別の路線バスに乗り継げばチンギス・ハン陵まで行けるのですが、すでに時間は12時すぎ。路線バスと園内の移動時間を考え、ここからはタクシーで行くことにします。

DiDiでタクシーを捕まえ、30分ほどで北西門近くの旅客中心に到着しました(105元、約2,100円)。

チンギス・ハン陵を観光

旅客中心のなかはかなり豪華な作りです。入場料は90元(約1,800円)。

景区全体は広く、敷地内には廟のほかに博物館とかが点在しています。今日は雨なのでメインの像と建物を観光することに。

門から廟までは長い参道が伸びており、途中に巨大なチンギス・ハン像があります。

廟の建物はイスラム様式を思わせる装飾が取り入れられています。デザインの意味を調べましたがよくわかりません。カラコルムとかの様子を見るに、チンギス・ハン時代当時は瓦屋根とかの中華風が主だったんじゃないのかな。

廟の内部は博物館になっていますが撮影不可です。

うち一室にはチンギス・ハンとその妻またボルテカン家系の絵が複製で展示されており、本物はユルトの中に保管してあるとの案内がありました。

廟の壁の絵や文章には、チンギス・ハンが人材を見出す手腕や、家臣を登用した逸話などが紹介されています。

モンゴルで『蒼き狼』(井上靖)というチンギス・ハンの生涯を描いた小説を読んでいたため、登場人物とかはなんとなくイメージできました。

廟から少し離れた位置にはストゥーパもあります。これも当時はチベット仏教は入ってきてないはずなので、経緯はよくわかりません。

もともとはユルトみたいなもので祀っていたようなので、廟を建てるときに今の意匠で祀りなおしたって感じなのでしょうか。

チンギス・ハン陵からパオトウへ

東生バスターミナルへ

観光も終わったのでパオトウへ帰ります。

来た時のように伊金霍洛(イジンホロ)で路線バスに乗り継ぐと時間がかかるため、少し料金は高いですが東生バスターミナルまで直接タクシーで行くことにしました。

入り口の駐車場に客待ちのタクシーがいなかったためDiDiで配車。街から遠いので時間かかるかと思ったらすぐに配車されました。どうやら駐車場に停まっていた車がいたようです。

駐車場で一方通行無視の車と鉢合わせになり、どっちが道を譲るかで一揉めした後バスターミナルへ。

東生バスターミナルまでは一時間ほどで運賃は231元(約4,600円)。配車手数料を除いたメーターの表示は170元ほどだったため、直接タクシーを拾えればもっと安く来れそうです。

タクシーを降りた直後に、ターミナル前にたまっていたほかのタクシー運転手たちから「ちゅなぁ?」「ちゅなぁ?」(去哪儿、どこ行くの?)と聞かれます。

これ、今までは客引きだと思っていましたが、さすがに目の前でタクシー降りたばかりの人には聞かないはず。単に親切心で聞いているのかもしれません。

バスターミナルでパオトウ東行きのチケットを購入。係員さんがパスポートの日付表示が読めずちょっと時間がかかりました。外国人には慣れてなさそうです。

直後のバスが売り切れており、最終バスである17:30の便になりました。

少し時間があるので周辺を散歩したり食事して過ごします。オルドスも大きな街です。

バスターミナルの待合スペースに戻ると薄い壁(衝立)をへだてた同じ建物の中から、ホイッスルやドリブルの音が聞こえてきます。空きスペースで軽く練習している感じではなく試合でもやっているよう。体育館にでもなっているのかな?謎です。

バスは定刻通り発車し、19時過ぎにパオトウ東へ到着。ちょうどホテル前の道を通ったので近くで降ろしてもらいました。

結局、始バスで行って終バスで帰ってくる形になりました。僕は途中をタクシー移動したので時間的には余裕ありましたが、公共交通機関のみだと結構ギリギリだと思います。鉄道にするかオルドスで一泊したほうが楽そうです。

明日は高速鉄道で蘭州へ移動します。