ニイハオ!今日は謎の遺跡 龍遊石窟へ行ってきます。
龍遊石窟とは
龍遊石窟(りゅうゆうせっくつ)は、中国浙江省衢州市龍游県に位置する巨大な人工地下空間で、「世界第九大奇跡」とも称される神秘の遺跡です。
1992年に偶然発見されるまで存在が知られておらず、その規模と精緻さから今も多くの謎に包まれています。現在公開されているのは24座の石窟で、最大のものは面積1,000平方メートル以上、高さ30メートルにも及び、壁面には規則的な斜めのノミ跡がびっしりと残されています。
誰が、いつ、どのような目的でこれほどの巨大空間を掘削したのか定説はなく、古代の軍事施設説や貯蔵庫説など諸説が唱えられていますが、未解明のままです。
内部はひんやりと静まり、人工でありながら自然の洞窟を思わせる幻想的な雰囲気を醸し出しています。歴史ミステリーと冒険心を刺激する龍遊石窟は、旅人に唯一無二の体験を与えてくれるスポットです。
龍遊石窟はちょっとオカルトというかムー的に「世界9番目の不思議」として紹介されていたりもします。不思議と言われるポイントは以下のよう。
- 発見の経緯: 1992年に村の農家が池の水を抜いた際に、地下から大規模な洞窟群が姿を現した
- 保存状態の良さ: 巨大空間であるにも関わらず天井・柱がほぼ原型を保っている
- 記録のなさ: これほどの大工事なのに文献に一切情報がない
- 洞窟構造の独立性・統一性: 24の洞窟が近接しているのに互いに接続していない。壁面のノミ跡がすべて同じ角度・同じパターンで統一されており、職人のクセの差がほぼ無い
- 作業痕跡のなさ: スス(煤)の跡がほとんど残っておらず、どうやって内部を明るくして作業したのか不明
「9番目の不思議」というのは聞きなれない表現ですが、中国では世界七不思議に兵馬俑を加えた「八大不思議」「八大奇迹」といった表現がよく用いられ、龍遊石窟はそれらに匹敵する九番目の不思議ということだそう。追加の追加ということで若干の二軍感がします。
こういう謎スポットは結構好きなので、せっかく近くに来たならと行ってみることにしました。
高速鉄道で上饶へ
8時過ぎにホテルをチェックアウトし駅へ向かいます。配車アプリでタクシーを呼ぶと、黄山へ行った時と同じ運転手が来ました。毎日この辺で客待ちしてるらしい(12.2元、約240円)。
龍遊石窟の最寄りはその名前の通り龍遊駅です。今いる黄山北駅からだと直行の列車はなく、途中の上饶で乗り換える必要があります(中国の高鉄は列車ごとに運賃が決まっており、区間割引みたいな制度はありません)。

乗換駅である上饶へは高速鉄道で南へ40分ほど。ちょうどこれから南下していく予定のため、上饶まで荷物をもって移動した後 龍遊へ日帰りすることにしました。
予約した列車は8:49発のG2185。一等で約3,000円です。
駅だと壁際に充電スペースが設けられていることが多いのですが、ここでは各座席の脇に謎の端末がありケーブルをつないで充電できます。何されるかわからないのでちょっと怖くて繋げません。

車内はガラガラです。今回の客車はいつもよりいいシートな気がします。赤だから高級感あるように見えているだけかな……?

乗車時間は短いですが軽食は出ました。左下の山楂片という山査子(サンザシ)をペーストにしたお菓子がしっとりとした食感と干し梅みたいな甘酸っぱさでおいしい。

列車はすぐに上饶へ到着。この町は世界遺産の三清山や映えスポットとして有名な望仙谷への起点になっており、数名ですが欧米人観光客も見かけました。
ひとまず、予約したホテルへ荷物を置きに向かいます。予約したのは「ホリデイイン・エクスプレス」で、珍しく外資系ホテルチェーンです。料金は約5,100円で普段とそんなに変わりません。外資系ですが英語は通じませんでした。

まだ10時前と早すぎる時間ですが部屋に入れてもらえました。

高速鉄道で龍遊石窟へ
部屋に荷物を置いてタクシーで駅へ戻ります。
次発の龍遊行きの列車をウェブ予約しようとしましたが、高鉄だと発車30分前に予約が締め切られるようで既に買えなくなってました。仕方がないのでその次の10:54発を予約し、駅でしばらく待ちます。
上饶から龍遊駅までは東へ二駅45分ほど、運賃は二等で約1,800円。
列車はあっという間に龍遊駅に到着。バスもあるようなのですが百度では運行間隔がよくわからなかったのでタクシーで向かいます。

龍遊は田畑しかない農村みたいなイメージでしたが、意外にマンションや商業施設もあります。人口は36万人ほどなので、大都市ではないものの都会な方でしょう。
龍遊という地名から昔は水害が多かったのかなと思いましたが、どうも地名の由来ははっきりしないらしい。そもそも中国で「龍」が付く地名は川沿いだけでなく、風水的な龍脈に近いとか、単に語感がいいからとか様々な理由があるようです。
龍遊石窟を観光
15分ほどで石窟の入口に到着。エリア内への立ち入りは自由で、洞窟の中だけチケットが必要です。

少し歩いて洞窟の入口へ向かいます。複数ある洞窟のうち、内部が一般公開されているのは1~5窟です。

チケットチェックをして窟内へ。Trip.comで前日までに予約すると入場料が5%引きになり1,650円ほどでした。

洞窟は地表から2,30メートルほどでそれほど深くはありませんが、内部はめちゃくちゃ涼しいです。
ちょっとB級感のあるライトアップに、イベント用なのかスピーカーなどの機材も置かれています。

この第一窟の天井付近の壁際には謎の彫刻が刻まれています。これは窟内に現存する唯一のものだそう。

続けて地下の通路を通って次の洞窟へ向かいます。あれ、洞窟は独立してるって話じゃなかったのかな……。これは後から繋げたものなのか、情報ソースが間違っているのかよくわかりません。
二つ目の洞窟はかなり大きく、大きな採光口とステージらしきものがあります。このステージも当時からあったのか、イベントのために造ったのか謎です。

壁には規則的なノミ跡が付いています。この模様に属人性がないと言われているようですが、素人目には一窟目と結構模様が違うような……。

柱からはダクト?が生えてます。これは柱を補強したものなのか、柱自体を後付けしたのか、全体に自由に改修され過ぎていてどこが当時の構造なのかよくわかりません。

後半の窟には自由に壁画が掘られています。壁面のノミ跡とか一窟目の唯一の彫刻とかが貴重なんじゃないのかな……。さすがにこれはだめじゃない?

洞窟自体の雰囲気はいいのですが、なんだか観光地開発に失敗したような残念感があります。



一通り見学して洞窟の外へ。それ以外の窟も外観は見学できますが、水没しているため中は見られません。

高速鉄道で上饶へ
そのまま駅へ戻り、14時前の列車で上饶へ帰りました。
ホテルに戻りしばらく休憩。夕食を食べに外に出ようとしたら廊下が真っ暗でした。たまたま見回りしていた警備員の人が「お前何でいるんだ?」と驚きつつ電灯をつけてくれました。このフロアの宿泊客は僕一人だったよう。
夕飯は近くの食堂で鴨腿飯というライスプレート的なものを(15元、約300円)。近くには屋台も出て賑わっています。

タレがいい感じの甘辛さでめちゃ美味しい。

明日からは武夷山を観光します。
