天下第一名山 黄山を一泊二日で登山(2025/8/10-12)

中国

ニイハオ!今日から黄山を観光します。 

中国安徽省の黄山は、古くから「天下の名山」と呼ばれてきた名峰です。その起源は約1億年前の白亜紀にさかのぼり、地殻変動で隆起した花崗岩が長い侵食を受けて現在の鋭い峰々や断崖を形づくりました。

黄山の景観を語るうえで欠かせないのが、断崖に根を張る黄山松と、奇岩が連なる山並みです。岩肌に生える松は風雪に耐えながら独特の形をなし、「迎客松」など名を持つ木もあります。代表的な峰には「蓮花峰」「光明頂」「天都峰」などがあり、いずれも海抜1800メートル前後に達します。

その美しさは古くから「五岳帰来不看山,黄山帰来不看岳(五岳より帰りて山を見ず、黄山より帰りて岳を見ず)」という格言に表されています。つまり、中国各地の名山を見ても黄山を見れば他の山は振り返る必要がない、という意味です。自然の造形美と文人文化が融合したこの地は、1990年にユネスコの世界遺産(自然・文化両面)に登録されました。

黄山の地図

黄山全体の地図は以下のような感じです(公式サイトより転載)。

※ホテル等でもっと細かいルートと歩行時間が書かれたトレッキングマップを配っているのですが、オンライン上に公開されているものが見つかりませんでした。

観光の日程によりますが、ルートとしてはどこかのロープウェイで登って山頂周辺をぐるっとまわり、またどこかのロープウェイで降りてくるのが一般的です。

僕は一泊二日で多少時間があるため、登りではロープウェイを使わず南東側の雲谷寺(云谷寺)から徒歩で登り、北海付近で一泊して南西側の玉屏ロープウェイで降りて来るルートで観光したいと思います。

8/10 黄山市へ移動

今日は武漢から拠点となる黄山市へ移動します。

黄山市にはいくつか高速鉄道駅があり、今回は黄山北駅を利用します。

武漢から黄山北駅まではおよそ3時間半ほど。運賃は一等で約9,600円です。今日は移動だけなので、ゆったりと13時半時発の列車にしました。

電車は何事もなく黄山北駅に到着。

黄山北駅は市街からは少し離れており、周辺にある建物は黄山行きのバスターミナルくらい。今日予約したホテルは市街の方にあるためタクシーで移動します(13元、約260円)。

今日のホテルは「樂呈鉑軒ホテル」で、一泊約3,600円。値段の割に建物の外観はいい感じです。写真は夕方に撮ったら変な感じになってしまった。

もともと別々の建物を無理やりくっつけているのか、3Fの部屋に行くためには2Fで一度エレベーターを乗り換えなければいけない謎の作りでした。

夕食は近くの食堂で「魚粉」という麺料理を(15元、約300円)。これは魚介のスープに春雨みたいな麺をいれたものらしい。

中国で麺っぽいものは「〇〇麺」とか「〇〇粉」とかいろいろあるのですが、麺は小麦、粉はそれ以外で作ったものという分類だそう。たぶん中国人にとってはうどんとそばみたいに全然違うものなんでしょうけど、ぱっと見では区別付けられません。

ここの魚粉は高菜も入っていてスープの風味はラーメンに近い感じでした。

8/11 黄山へ登山

今日は黄山に登山して山頂で一泊します。

黄山北駅から黄山風景区へ

まずは黄山行のバスが出ている黄山北駅すぐ隣のバスターミナルまでタクシーで向かいます(8.8元、約170円)。

バスターミナルから景区までのバスは日中なら一時間に一本くらいはあります。

窓口で8:10発のチケットを購入します(30元、約600円)。

一時間弱で黄山のバスターミナルに到着。周囲にはホテルや旅館が並び、いかにも観光地街っぽい街並みです。このへんに前泊して黄山自体は日帰りで観光する、というのが一般的なようです。

景区から雲谷寺のロープウェイ乗り場までは別のバスに乗り換える必要があり、ここでチケットチェックがあります。

入場券は事前にTrip.comで予約して約2,000円、雲谷寺までのバスチケットは近くの窓口で購入して19元(約380円)でした。

バスターミナルではバスの行先ごとに入口が分かれています。雲谷寺のほうがちょっと人は少なめです。

バスは30分ほど山道を走ってロープウェイ乗り場へと向かいます。結構なヘアピンカーブが続き、遠心力で引っ張られるたびに同乗している子供たちが盛り上がっていました。

黄山を登山

雲谷寺ルート

雲谷寺の登山口は雲谷寺ロープウェイ乗り場の少し手前にあり、降車場からは少し歩きます。

道中の電光掲示板に、「徒歩だと3時間、ロープウェイなら10分、時間と体力を効率的に使おう!」みたいな広告メッセージが流れていて心が揺らぎます。

9時40分ごろに雲谷寺の登山口に着きました。同じバスに乗っていた人の中で徒歩で登るのは僕一人のようです。

登山道はだいたい4km、標高差は800メートルほどらしい。石段で整備された登山道をほぼずっと登っていく感じです。

しばらく歩くと他の登山者もちらほら見かけるようになりました。

登山道の途中には数件の売店はありますが、泰山のように賑やかってほどではありません。

左手に奇岩を見上げる形で少しずつ標高を上げていきます。少し霧がかかっているのが幻想的でいい。

登り始めてから2時間強、12時前にロープウェイ山頂駅付近の展望台に着きました。

北海のホテルへ

今日は黄山山頂付近で一泊します。休憩のためいったんホテルへ向かいます。

予約したのは「黄山獅林ホテル」で一泊約2.2万円。山頂なので結構お高めです。フロントのスタッフには英語が通じます。

部屋の設備は最小限ですが、ちゃんとお湯も出るし山頂にしてはいい方だと思います。備え付けの防寒着としてダウンジャケットも置かれていました。

いったんシャワーを浴びて休憩し、13時半くらいに再出発します。

西海を観光

今日はこのあと西海という西側の山頂エリアをぐるっと回ります。登っているときは暑かったですが、一度休んでホテルの外に出ると少し肌寒く感じます。

夢幻景区

西海周辺でもメインとなるエリアは夢幻景区(梦幻景区)と呼ばれて、この辺に奇岩が集中しているよう。名前かっこいいな。

崖沿いに作られた道を歩いて谷間に降りていくようなルートになります。

少し狭いところはありますが、足場はしっかりしており危険なところはありません。

通路のところどころに展望台が作られており、人は多いものの散らばっているためそれほど混雑は感じません。

この辺の岩は主に花崗岩で垂直に近い割れ目(垂直節理)を多く持つため、風化や浸食によってこうした岩林が形成されるようです。

岩の間とか洞窟を通りぬけて、出発から一時間半ほどで谷底まで降りてきました。

西海大峡谷ケーブルカー

谷底からは山頂に戻るためのケーブルカーがあり、運賃は片道100元(約2,000円)。ここからまた登り返すのはきついのでいくら高くても乗るしかない。

チケットはWeChatで買えますが、僕はエラーになってしまったため窓口で買いました。

ケーブルカーには行列ができており、15分ほど待って乗車。座席はなく、日本の満員電車ほどじゃないですがすし詰めにされます。

ケーブルカーはあっという間に山頂エリアに到着しました。

あとはホテルに戻るだけ……なんですが、ここからホテルまでは一つ光明頂という峰を越えていかないといけません。

光明頂

今朝から歩き通しなのでそろそろ疲れてきました。

途中にファーストフード店が集まった露店村みたいなものがあったので軽く食事します。フィッシュバーガーで15元(約300円)と意外と良心的な値段でした(しょぼいけど)。

泰山とかと比べると山頂エリアに街みたいなものはなく、食事の選択肢は限られる感じです。

食事込みで30分ほど歩いて光明頂に到着しました。視界は開けているのですが、ちょうど着いた頃にガスが出てきて眺望はいまいち。

その後はなだらかな林道を歩いて、16時半ごろホテルに戻りました。

黄山にはいくつも日没スポットがあるのですが、17時前には雨が降り始めたので諦めました。残念ですが歩いている間に降られなかった分マシだと思いましょう。

8/12 黄山の日の出と下山

清涼台で日の出

朝、目覚めると雨は止んでいました。雲は出ていますが日の出を見に行ってみます。

いくつかあるスポットのうち、ホテルから近い清涼台という所へ行くことにしました。

清涼台

日の出時刻は5時半ごろなので、5時過ぎにホテルを出発。清涼台ではすでに何人かの観光客が日の出待ちをしていたため、空いているところに陣取って待ちます。

雲はありますがきれいな日の出。

始信峰

しばらく日の出を眺めた後、そのまま少し歩いて始信峰という別の展望スポットへ。朝焼けと岩がいい感じです。

ぐるっと散歩して6時半ごろホテルに戻りました。

玉屏ロープウェイへ

この後は昨日通っていないルートを通って南西側へ抜け、玉屏ロープウェイで下山するだけです。

飛来石

ホテルで朝食後、8時前にホテルをチェックアウト。結構ガスが出ています。

まだ昨日の歩き疲れが残っていて、ちょっとしたアップダウンでも少し辛い。

飛来石。二つある石の上側だけが削れて、あたかも他から飛んできたように見えることから名づけられたそう。

9時過ぎには昨日も通った光明頂に到着。少し霧が晴れてきて、遠くが見張らせるようになりました。

鰲魚峰(鳌鱼峰)

この後は鰲魚峰というところを通って下山していきます。

黄山一帯でもっとも高いという蓮花峰は登り一方通行で、下りルートだと通れません。

こちらのルートは登ってくる人たちでかなりの混雑です。登山道の中央には仕切りがあって登り降りで通り道が分けられているのですが、中国人はそんなもの守らないのでカオスです。

降り側は人が少ないからいいですが、登り側は進めないくらいに渋滞しています。こっちから登ったら混雑のストレスで楽しめなかっただろうから雲谷寺からにして良かった。

10時過ぎに玉屏ロープウェイの山頂駅に着き、ロープウェイで下山(90元、約1,800円)。そのままバスで景区のターミナルへ帰りました(19元、約380円)

黄山から黄山北駅へ

これから黄山北駅へ帰ります。黄山北駅へのバスチケットも景区内と同じカウンターで売っています。

昨日は気づきませんでしたが景区入口と並んで長距離バス用の入場通路があり、建物の二階からバスが出ています。

景区を出るバスに一時間ほど乗って、12時ごろに黄山北駅に到着。一昨日と同じホテルでゆっくり休みました。

明日は謎多きオカルト遺跡として一部で有名な龍遊石窟を観光します。