ニイハオ!今日は明十三陵を観光します。
明十三陵(みんじゅうさんりょう)は、中国北京市の北西部・昌平区に位置する、明朝歴代皇帝の陵墓群です。明の第3代皇帝・永楽帝が最初にこの地に自身の陵墓「長陵」を築き、その後の12人の皇帝も同地に葬られたことから「十三陵」と呼ばれています。広大な山々に囲まれた風水に優れた地に築かれており、現在でも壮大な石像や儀式用の建築が残されています。
十三陵は広いエリアに陵墓が散在しているため、全てを個人で観光するのは難しいです。僕は比較的人気がある以下のスポットを回ってみようと思います。
- 神路: 明十三陵全体の参道で、皇帝の霊を迎えるための荘厳な石像参道。
- 長陵: 第3代皇帝・永楽帝の陵で、明十三陵で最初に築かれた最大規模の中心陵。
- 定陵: 第13代皇帝・万暦帝の陵で、地下宮殿が発掘・公開されている唯一の陵墓。
- 昭陵: 第5代皇帝・宣徳帝の陵で、自然に囲まれた静かな雰囲気が魅力の陵墓。
チケットは全部まとめて165元(約3,210円)です。Trip.comだと1,967円で少し安く買えたので僕はTrip.comで買っておきました。
神路が参道なのでそこから入るとして、陵墓の位置を考えると長陵→定陵→昭陵 (もしくはその逆)で回るのがいいと思います。
各スポットの間は路線バスが巡回しています。ただ、陵墓からバス停が少し離れている場所もあるので楽に回りたいならタクシーの方がいいです。スポット間の距離にもよりますが、だいたい一区間10〜20元(約200円~400円)くらいで移動できます。
路線バスで明十三陵へ
公共交通機関では路線バスか地下鉄で行くことができます。地下鉄は少し離れたところに駅があるのに対して、路線バスなら神路など観光スポットのすぐ近くにも停留所があります。僕は行きは路線バス、帰りは地下鉄で行ってみることにしました。
路線バスは「馬甸橋南(马甸桥南)」停留所から出ます。まずは最寄りの「馬甸(马甸)」駅まで地下鉄で移動します。
通勤ラッシュが落ち着いてきそうな9:00過ぎにホテルを出発し、10号線-12号線と乗り継ぎます。地下鉄の車内モニターで殷墟の広告が流れています。殷墟自体の広告かと思ったら北京で殷墟展をやっているらしい。
馬甸駅から馬甸橋南停留所へは歩いて数百メートルです。バス停は幹線道路内にあるので、道路の下をくぐるトンネルを通ってバス停へ。バス停にはバスの番号ごとにわかれた待機場所があります。乗車する872路の待機列でしばらく待ちます。

872路は30分に一本くらいで時刻表に従って運航しています(一般的な路線バスは時刻表がなく、ルートの所要時間と巡回台数で何分おきに来るかわかる)。ですので、発車時刻に合わせて停留所に行くといいでしょう。
バスはほぼ定刻に到着し発車。運賃は10元(約200円)と路線バスと比べると高めです。たぶん市外バス的な扱いなのでしょう。バスはすぐに高速道路に乗り、50分ほどで神路近くの大宮門停留所に到着しました。

明十三陵を観光
神路
大宮門停留所から少し歩くと明十三陵の石碑と門(大紅門)が見えます。ここからさらに歩くとチケット売り場です。

入場すると大きな碑楼があり、中には亀趺碑(きふひ)があります。明十三陵に現存する唯一のもので、永楽帝の生涯と功績が書かれているらしい。


参道は途中で少し曲がっており、入り口から出口は見えません。参道は直線で左右対称に作るのが一般的かと思っていました。
調べてみると、直線だと風水的には気が流れすぎて逆にヤバい、みたいな話でわざと曲げているそうです。こういうの、マナー講師みたいに誰かがどうでもいいこと言い出してそれが広まっていく感じだったのかな。

石像は同一のモチーフが座像→立像の順に配置されており、これが静と動を表しているそう。動物はラクダのような実在のものから麒麟や獬豸(かいち)といった想像上のものまで。
石像の横に解説(中/英)があって、ラクダであれば「明王朝の洪武帝の治世以降、皇帝陵の神路に並べられる石像の一つとして正式に位置づけられるようになった。…彼らの穏やかな表情は、吉祥(縁起の良さ)を象徴している」みたいに書かれています。

後半には守護者としての人物像が並んでいます。これ格好いい。

長陵
神路の出口に何台かタクシーが客待ちしています。だいぶ吹っかけてくるか、複数スポットを回る貸切を提案してくるので個々に話しましょう。僕は話が通じる人がいなかったので配車アプリでタクシー呼びました。この周辺を巡回しているタクシーは割と多いようですぐ配車されました。神路から長陵へ14.2元(約280円)。
陵はどれも以下のような構造になってます。門から入って御殿と楼の先に宝頂という古墳的な小山があり、墓はその中にある感じです。

長陵の祾恩門と祾恩殿(奥)。

祾恩殿。屋根が二層になっているので、他の宮殿建築でもあった格式高い建て方だな。完成は1427年で、明代の木造建築としては最大級のものらしい。

祾恩殿は柱や梁が太くて格好いいです。使われているのは金糸楠木(きんしなんぼく)という楠の一種で、現在は希少なため伐採禁止となっているそうです。
内部は博物館のように装飾品が展示されています。ほとんどは複製品のよう。

殿を抜けると大きな楼(明楼)があり、登ると中に石碑(聖号碑)が立っています。

聖号碑。これは位牌と戒名みたいなものなんでしょうか。

お墓(宝頂)には柵があり近づけません。

定陵
長陵を出たところで、ちょうど定陵行きのバス314路が来たので乗りこみます。運賃2元(約40円)。

定陵も陵墓の作りは似たような感じです。いくつかの門は消失して跡だけが残っています。
解説には「日本偽政府の時に焼けた」とだけ書いてありますが、どうも陵墓の管理者が職務に不満を持って放火したらしい。日本関係あるんか?

定陵は陵墓の奥から地下に降りられます。思ったより深く、だいたい20メートルくらいでしょうか。地下は涼しく、階段や地面は結露して濡れています。

この石壁は大部分は建設当時のものが残っているらしい。石室には皇帝と側室の棺が置かれています。

昭陵
定陵と昭陵は地図上だとすぐ近くに見えるのですが、入り口が離れているため歩くと30分ほどかかります。ちょっと暑かったので僕はタクシーにしました。
ここも作りは同じような感じです。

聖号碑は一度割れたものが補修されています。農民反乱で壊されたそうですが、引き倒したくらいじゃこんな漫画みたいに割れませんよね。ノミとか打ち込んで割ったのかな。

一通り観光したので帰ります。昭陵から地下鉄「十三陵景区」駅までタクシーで20.3元(約400円)。
神路に着いてから、四か所回るのにだいたい三時間くらいかかりました。個人的には長陵の建物が規模も大きくて一番良かったです。
地下鉄で北京中心部へ
帰りは昌平線から10号線を乗り継ぎ、ホテル近くまで戻ります。所要時間はバスとそれほど変わらず、1時間45分くらいかかりました。疲れているなら座りやすいバスのほうがいいかもしれません。
乗り換え駅で公安が臨検をやっていました。外国人はパスポート出すだけで中身は見られませんでした。
夕食は近くの食堂で「驴肉汤」というロバ肉のスープと、「猪肉芹菜」という豚肉餃子みたいなやつを。

店内の標語、中国語しらなくてもなんとなく意味がわかります。ちょっとメンヘラじみていて怖いです。

明日は紫禁城を観光します。