今日はウランバートル近郊のテレルジ国立公園へ行きます。
この後は21日の夜行列車に乗ってモンゴルを出国する予定。「あと数日なのでどこかでゆっくりしたいな」と考えた結果、ウランバートルにほど近いテレルジ国立公園へ行ってみることにしました。
モンゴルを代表する自然保護区のひとつ「テレルジ国立公園」は、ウランバートルから東へ約70キロ、車で1時間半ほどの距離にあります。手軽に行ける立地ながら、そこに広がるのは見渡す限りの草原と花々、そして奇岩が点在する壮大な風景です。
標高はおよそ1,600〜2,900メートル。公園内にはモンゴルらしいゲル宿泊施設が並び、乗馬体験やハイキングなど、自然と触れ合えるアクティビティが豊富です。
代表的な観光スポットには、巨大な岩が亀の形に見える「亀石」や、断崖の上に建つ「アーリアバル僧院」があります。どちらも絶景と静寂を同時に味わえる人気の場所です。四季を通して訪れることができ、春は新緑、夏は花畑、秋は紅葉、冬は雪景色と、季節ごとにまったく違った表情を見せてくれます。
テレルジ国立公園へ(7/18)
ウランバートルからテレルジ国立公園へは予約したホテルで送迎をお願いしました。
バスやミニバスでも行けるようですが、モンゴル国内ではリゾート的な扱いの場所ですし車でゆったりと移動したいなと。料金は片道100,000トゥグルグ(約4,000円)。市内から空港までと同じくらいのようです。
12時のピックアップに合わせてフロントへ降りていくともう運転手さんがいます。モンゴルは約束した時間に対しては割ときっちりしてる印象です(約束自体を忘れられることはありますが)。
ホテルはスフバートル広場を抜けて郊外へ向かいます。右側通行で左折禁止とかが多く、行きたい方向に行けず遠回りするので時間がかかります。まあこういう制限がないとみんな好き勝手に走ってカオスになるのでしょう。
遠目にウランバートル市街を眺めながら進みます。

これまで乗った長距離バスでは街を抜けるともう草原か荒野といった感じでしたが、この方向はロードサイドにコンビニやら売店がちらほらあり結構にぎやかです。車は一時間ちょっとでテレルジ国立公園に到着。

予約したホテルは「Terelj Takhi Resort」。名前にはリゾートとありますがリゾートホテル的な感じはなく、こぢんまりとしたペンションみたいな雰囲気です。一泊約10,000円で朝食付き、インターネット回線はありません。

バルコニーから外を見渡すと、いくつかの大きな岩山とその周辺に点在するホテルやユルトが集まったキャンプ的な宿泊施設が見えます。

付近にはレストランはおろか商店もありません。ホテルで食べる(7ドル)か何か持ち込むかという感じです。この日は特に外出せず、ホテルでゆったり過ごしました。
テレルジ国立公園一日トレッキング(7/19)
トレッキング開始
今日はテレルジ国立公園を観光します。公園内の観光スポットとして亀石と寺(アーリアバル僧院)が有名なので歩いて行ってみることにします。
ホテルのご主人にルートを相談してみます。寺まで歩いていく人はほとんどいないし、ご主人も歩いたことはないそう。まあ道は教えてもらえたので下のような感じで行ってみます。

ホテルからアーリアバル僧院まではだいたい12~3kmくらいです。……ゆっくりしにきたつもりがそんなに歩くのか……?。ホテル予約するときにちゃんと縮尺を見ていなかったので、もっと近いかと思っていました。
ホテルの主に挨拶して出発です。

ホテルの目の前にある幹線道路を渡り、反対側の車通りが少ないエリアへ。

目の前の丘(右手)がちょっとした展望台になっているので登ってみます。


丘の向こうにこれから歩くエリアが見渡せます。かなり広いエリアに宿泊施設が点在しています。地図とかで見た感じホテルはもっと少ないかと思っていました。ただ、ホテルの密度が低いのでそこまで観光地化されている印象は感じません。

丘を越えて、裏通り的なエリアを抜けていきます。ちゃんとしたトレッキングルートがあるわけではなく、普通の未舗装路を歩く感じです。


公園内に公共交通機関はないので、個人で園内を自由に移動するのは難しそうです。モンゴル人はだいたい車かツアーバスで来ているようです。

少し奥に入ると車通りもほとんどなくなりました。歩いている人もおらず見かけるのは家畜だけです。


宿泊施設が点在するエリアを通り抜けて、外れの丘を越えていきます。

公園内は私有地が多く、ところどころ柵があって人や家畜が入れないようになっています。ちょっと景観が残念です。

まあそういうところはごく一部で、全体として景色はとてもよい。流れる雲が落とす影が丘をゆっくりと流れていきます。

2時間ほど歩いて亀石に着きました。この方向からだと亀には見えずただの大きな岩です。

ここからは未舗装の車道を歩いて僧院へ向かいます。僧院へいくのはこの道だけなので、これまでのルートと比べると格段に車通りが増えました。車が通ると土埃がたってつらいので路肩の草むらとかを歩きます。


アーリアバル僧院
亀岩から3kmほど歩いてアーリアバル僧院の駐車場に着きました。
途中で見かけた歩行者は数人で、ほとんどは車で来ているよう。観光バスはほとんど韓国人団体旅行者のもののようです。

入口にあったカフェで休憩。園内だとここか亀石付近にしか入りやすいカフェはなさそうです。いいホテルの中とかにあるかもしれませんが外からだとわかりません。

しばらく休憩した後アーリアバル僧院へ入ります。
アーリアバル僧院は、テレルジ国立公園の高台に位置するチベット仏教寺院で、もともとは19世紀に建てられた瞑想と修行の場でした。
当時は多くの僧侶がここで修行を積み、精神修養の中心地として栄えましたが、20世紀の社会主義時代には多くの僧院と同じく破壊や衰退の運命をたどります。その後2000年代に再建され、再び訪れる人々を迎える場所となりました。
参道に掲げられた格言や祈りは、過去から現代へ受け継がれた信仰の証であり、山頂から望む雄大な景色とともに、この地が長い歴史と精神文化を刻んできたことを感じさせてくれます。
入場料は5,000トゥグルグ(約200円)。仏教の教えが並ぶ参道を登った先にマニ車が見えます。

本堂はさらに石段を登った先にあります。白壁にカラフルな屋根が映えています。再建は2006年ごろと比較的最近らしいのですが、外見も本堂の中も見た目そこまで新しいようには見えません。

本堂の中にはマニ車が並んでおり、参拝者は本堂の中を回ってお祈りしています。

丘の上に立つ本堂の前に出ると、目の前には雄大な渓谷が広がります。僧院全体が丘を登った高いところにあるので眺めはいい。亀石からここまで歩いてきた谷を見渡せます。またここを歩いて帰るのか……。

亀石(Turtle Rock)
僧院から歩いて亀石まで戻ってきました。
テレルジ国立公園の「亀石」は、数千万年という長い時間をかけて形成された花崗岩の奇岩です。風や雨、寒暖差による風化や浸食が少しずつ岩を削り、現在の亀が首を伸ばしたようなユニークな姿になりました。
モンゴルでは古くから自然の造形を神秘的な存在と見なし、この岩も土地の人々の間で親しまれてきました。特に遊牧民にとっては、道しるべや休憩地として利用されることもあったといわれています。観光名所として知られるようになったのは比較的近年ですが、自然の力が生み出した「生きた化石」のような姿は、訪れる人々に悠久の歴史を感じさせてくれます。

北側から岩の中腹まで登れるようになっています。遠くからは大きな岩が組み合わさっているように見えましたが、近づくと表面の風化の痕跡がよくわかります。


反対側から見るとたしかに亀っぽい。

その後は幹線道路の脇を歩いてホテルまで帰ります。この道路沿いはホーストレッキングのルートとしてもよく使われており、馬に乗ったグループとよくすれ違います。

この幹線道路沿いは歩いていてもそんなに楽しくはないな……帰りは車にすればよかった。タクシーとかもいないので黙々と歩きます。
ようやく泊まったホテルから15分ほどのところにある集落へ。商店が1軒だけあるようですが寄る元気はありません。

15時過ぎにようやくホテルに到着。だいたい6時間で23kmほど歩いていました。

明日はウランバートルへ帰ります。