武夷山を二泊三日で周遊(2025/8/14-16)

中国

ニイハオ!今日から武夷山を観光します。

武夷山は、中国福建省北西部に位置する景勝地です。九曲渓を中心とした赤い砂岩の奇岩や渓谷が織りなす風景で知られ、「奇秀甲東南」(中国南東部随一の景観)と称されています。この地は、1999年にユネスコの世界遺産(複合遺産)に登録されました。

自然遺産としては、渓谷沿いに続く丹霞地形の絶景や、多様な生物相が保全されている亜熱帯の温帯樹林・熱帯雨林が評価されています。特に、渓流が九回大きく湾曲する「九曲渓」は、竹筏による川下りが代表的な観光ルートとなっています。

また、文化遺産としては、紀元前1世紀の前漢時代の遺跡や、朱子学の創始者である朱熹が講学を行った「武夷精舎」などの文化施設があり、11世紀以降の東アジア文化に大きな影響を与えた朱子学発祥の地としても重要です。さらに、武夷山は、烏龍茶の最高峰とされる「大紅袍」などの武夷岩茶の産地としても有名です。

今回の中国滞在では最後の観光地になります。あまり詰め込まず、二泊三日でゆっくり回ろうと思います。

8/14 上饶から武夷山へ

高速鉄道で武夷山へ

上饶から武夷山までは高速鉄道で20分ほどとすぐ近くです。ホテルで朝食を食べた後タクシーで駅へ向かいます。

駅への入場時の手荷物検査で、検査員に何か言われて止められます。これまでの検査で水やモバイルバッテリーが引っ掛かったことはあったのですが、今回はどちらも違うよう。よくわからないので手荷物の中を取り出しながらてみてもらうと、引っ掛かっていたのは携帯ファンでした。どうもドローンと間違えられたよう。

運賃は一等で1,590円。列車は先日と同じでガラガラです。特に何ごともなく、10時過ぎに武夷山北駅へ到着しました。

武夷山あたりの気温は33度くらいで上饶よりも涼しく、まあ普通に過ごせるレベルです。

武夷山北駅から景区近くのホテルまではバスで一時間弱。駅の目の前の停留所で待っていると、すぐに目当てのバス 6路がやってきました。運賃は免費(無料)です。

中国の路線バスは基本的にAlipayのバスカードで乗れるんですが、たまに使えないバスがあったりして初回はちょっとストレスなんですよね。無料だとこの辺気にしなくていいのでありがたい。

しばらくバスに乗って、ホテル近くの停留所で降りました。

武夷山へ

ホテルに荷物を置いたあと、ふたたび路線バス6路に乗って景区の入り口へ。旅客中心は黄山とかに比べるとだいぶ空いてます。

武夷山への入場券は有効期限別で分かれており、筏下りは別売りになっています。

僕は事前に三日間の入場券+筏下りの優先チケットのセットをTrip.comで購入しました(約5,900円)。優先チケットは一般チケットより1,000円くらい高いのですが、並ばず乗れるようなので全然いいです。

景区へはパスポートで入場できます。

景区内を循環する観光バスにもパスポートで乗れるとTrip.comには書いてあったのですが、ゲートにパスポート用のチェック端末が見当たりません。とりあえず近くにいた係員に事情を話すと改札を通してもらえました。

バスに乗車した後でTrip.comのサポートにWeChatで質問すると、「窓口で紙のバスチケットを発券しろ」と言われます。いや商品説明に書いといてくれ。今日はもうバスに乗ってしまったので帰りのバスも言葉で説明してなんとかするしかないな。Trip.comもイマイチなところはありますが、サポートが対応はしてくれるのでポータルサイトの中では一番信頼してます。

一銭天

ここは、巨大な岩が垂直に割れた隙間にできた通路を通り抜けられるスポットです。頭上からわずかに光が差し込む様子が、一本の糸(線)のように見えることからこの名前が付けられました。

入口は割れ目の中央あたりにあり、ルートが左と右に分かれています。それぞれのルートは一方通行なので、両方歩きたいならルートの出口からまた入口まで戻ってくる必要があります。

左の方はただの細い道です。

右の方は閉塞感が強く、また蝙蝠の糞と湿気のせいか独特の臭いもあって結構辛く感じました。これ閉所恐怖症の人はやめといた方がいいレベルじゃないでしょうか。

虎轟岩

続けて虎嘯岩というスポットへ向かいます。虎嘯岩までは普通はバスで行くのですが、僕はトレッキングルートを歩いていくことにしました。

歩いている人はちらほらいる程度でほぼ貸し切り状態です。ルートはそこまでアップダウンもなく、日陰も多くて歩きやすい道です。道の脇には茶畑が広がっています。

トレッキングルートを歩いていくと虎嘯岩の裏手に出ます。

崖の上には天成禅院という寺が。寺自体の歴史は明代までさかのぼるようですが、一番目立つ観音が彫られたのは1994年と割と最近です。

この裏手から虎嘯岩へは下りの一方通行とになっているため直接登れず、一度東側から登って回り込む必要があります。いくつもの奇岩が並ぶ雄大な風景を遠目に眺めつつ歩きます。

だいたい一時間弱で、虎嘯岩のハイライトである好漢坡の入口に着きました。好漢坡は、「漢(おとこ)になるための坂」を意味する、340段の急な階段です。急勾配ですが、距離は短いためそれほど時間はかかりません。

頂上に着くと初めての売店が。ちょっと喉が渇いたので冷たい水を購入。景区内には売店がほとんどないせいか値段は8元(約160円)と観光地価格にしてもかなり高めです。

周辺にはいくつか展望スポットがあります。この辺の景色が一番よかったなあ。

玉女峰

虎嘯岩を降りた後、さらに30分ほど歩いて玉女峰へ向かいます。

玉女峰はまるで仙女が立っているかのような美しい岩山(左)です。川岸は水遊びをする観光客でにぎわっていました。

ホテルと食事

今日行きたいところは回ったのでホテルへ帰ります。この日の宿は「景城ホリデーホテル」で一泊3,000円弱。中はまあ普通の個室って感じです。

夕食は近くの食堂「朱子小吃」へ。カウンターで好きな小皿とかを取って会計するタイプの食堂です。この卵のお菓子?みたいなのはテレビで特集されたとかでポップが出てました。

店内には朱子の像が置かれています。僕は全く知らなかったんですが、武夷山は朱子が40年ほど活動の拠点にしていた場所だそう。朱子は一地方役人にもかかわらず、中華思想の統一理論である「理気二元論」や、数百年にわたり科挙の参考書となった「四書集注」で中国では神扱いされている思想家です。

有名な教えとして「存天理、滅人欲」 (天理を保存し、人欲を滅す)という汚職や私利私欲を否定する言葉があるのですが、その教えに数百年従ってきたはずの中国が人治・汚職大国になっているのは味わい深い。

8/15 天遊峰と筏下り

天遊峰

この日は8時ごろにホテルを出て、路線バスで旅客中心へ。チケットカウンターで係員さんにパスポートを見せて、バスチケットを発券してもらいます。

観光バスで天遊峰という峰への入り口に到着しました。昨日回った虎嘯岩や一線天のエリアよりもツアー客が多いように感じます。

しばらくなだらかな山道を歩いた後、岩山に造られた階段を上っていきます。

巨大な岩山と九曲渓が格好いい。

バスを降りてから一時間ほどで頂上に着きました。

頂上にいくつか売店があったので、四果汤という冷たい果物スープ的なものを注文。これは福建省の伝統的なスイーツで、日本でいうあんみつみたいなものでしょうか。黒いのは寒天ではなく仙草のゼリーで体を冷やす効果があるらしい。

しばらく山頂で休んだ後、山を下って一度ホテルへ帰ります。

九曲渓筏下り

ホテルで一休みした後、武夷山観光のハイライトである九曲渓での竹筏漂流(筏下り)へ向かいます。

Trip.comで優先チケットを購入した場合、自分で指定した時間帯にあわせて旅客中心のVIPラウンジに集合する形になります。

このラウンジは携程旅行(Trip.comの中国名)が運営しており、ラウンジと言ってもちょっとした待合室のような感じです。僕が到着した時にはすでに数人の中国人客がいました。

しばらくラウンジで待った後、携程旅行の係員に引率されて出発です。外国人は僕だけです。

貸切バスで専用の埠頭まで移動し、そのまますぐに筏に案内されました。一般の観光客の導線とは完全に分かれているので一切待たずに筏に乗れます。これは楽でいいな。

筏はほぼ竹を平らに並べただけのシンプルな構造で、背もたれの低い椅子が二列に並んでいます。

筏の前方と後方に船頭さんが一人ずつ乗り、竹竿で筏を押し進める感じです。この暑さでは大変そう。

川の中で通っていいルートは決まっているようで、筏の数が多いのでたまに他の筏とぶつかります。

船頭さんがところどころで何やら解説をしてくれてますが、当然ながら全て中国語なのでわかりません。手に持った棒で場所を指し示してくれるので言葉がわからなくても何となく楽しむことはできました。

筏は一時間半ほどで下船場所に到着しました。人が多いので風情という点ではいまいち……ですが水際の低い視点からみる風景はまた違った感じでとても良かったです。

客を降ろした筏はトラックに積み込まれてまた上流へ戻っていきます。船頭さんは一日で三四回転するのかな。結構な重労働です。

8/16 武夷山を観光して福州へ

この日は武夷山観光の最終日。今まで行っていない北側エリアを観光します。

ホテルのチェックアウト時刻は14時とだいぶ余裕があるため、とりあえず部屋はそのままにしていきます。これまで泊まったところもチェックアウトが遅いところはありましたが、このホテルはチェックイン時間よりもチェックアウト時間のほうが遅いという謎の運用です。

大紅袍

旅客中心から観光バスを乗り継いで北側の大紅袍景区というところで降ります。

今日は土曜日ですがあまり人はおらず空いています。こちらを休日に回してよかった。

ここには武夷岩茶の最高峰とされる大紅袍の原木があります。明代の皇帝から赤いマント(大紅袍)を授けられたという伝説のある茶樹が岩壁のくぼみに生えています。

ここから二つ目のスポットである水濂洞へはトレッキングルートが続いています。水濂洞へもバスで行くのが一般的なので歩いている人は誰もいません。

水濂洞

一時間半ほど歩いて水濂洞に到着しました。水濂洞は、巨大な岩壁から水が流れ落ちる様子がまるでカーテン(すだれ)のように見えることから名付けられた景勝地です。

今は水量が少ないようで、水滴がきらきらと輝いているもののカーテンのようには見えませんでした。

武夷山から福州へ

これから高速鉄道で福州へ移動します。

乗車駅となる武夷山北駅へは来た時と同じく無料の路線バスで行けるのですが、結構混んでいそうだったのでタクシーで行くことに。タクシーだと駅までは30分ほどで39元(約780円)でした。

武夷山北駅から福州南駅へはおよそ100分、一等で5,000円ほどです。通常、高速鉄道の車両内ではチケットチェックはない(乗務員が空き席のチェックをするだけ)のですが、この列車では珍しくパスポートチェックがありました。

明日からは、フェリーで海を渡って台湾へ向かいます。