扎尕那 (ザガナ): 神々が住む岩と霧の巨城へ

チベット

タシデレ!今日は甘粛省奥地の秘境、扎尕那ザガナへ向かいます。

ザガナ(扎尕那、Zhagana)は、中国甘粛省甘南チベット族自治州に位置する、切り立った石灰岩の岩峰群に囲まれた山間地形です。チベット語で「石の箱」を意味する名の通り、標高3,000メートルから3,300メートルの谷あいの周囲を、標高4,000メートル級の急峻な断崖や奇峰が四方から壁のように取り囲んでいます。

この地域は青蔵高原の東縁部に位置し、断層運動や水の浸食作用によって形成された奇岩や巨大な峡谷が発達しています。垂直に切り立った灰白色の岩壁と、谷底に広がる針葉樹林や高山植物、渓流といった自然要素が明確な対比をなしています。

また、周囲を高い山々に塞がれた凹型地形の影響により、谷間には雲海や霧が発生・停滞しやすい気象特性を持っています。これらの地形構造と気象条件が組み合わさることで、独自の山岳ランドスケープが構成されています。

ザガナを世界に紹介したのはナショナル・ジオグラフィックの探検家ジョン・ロック。稲城亜丁と同じ人です。

ザガナを訪れその景観に深く心を奪われたロックは、自身の日記に「もしアダムとイブが生まれたエデンの園が存在するなら、それはこのザガナの地に違いない」と最大の賛辞を書き残しました。

ザガナへの行き方

直行乗り合いタクシー

郎木寺からだと直行の乗合タクシーで行くのが一番簡単です(80元、約1,800円)。

僕が行った時はオフシーズンのため乗り合いタクシーがなく、貸切で300元(約6,900円)でした(通常は400元くらいらしいがおまけしてくれた)。

バス乗り継ぎ

最寄りとなる迭部ディエブという街までバスで行き、そこから乗り合いタクシーに乗り継ぐ方法です。近くの街から迭部へのバスは以下のような感じです。

  • 蘭州: 約7〜8時間、約120〜150人民元
  • 合作: 約4〜5時間、約60〜80人民元
  • 郎木寺: 約2~3時間、約50〜70人民元

迭部からザガナへは乗合タクシーがあり20~30元。これもオフシーズンは運行していないようです。

僕は帰りは迭部までタクシー貸し切りで100元(約2,600円)、迭部から合作へバスで71元(約1,600円)でした。

迭部はそこそこ大きい街で、流しのタクシーも走っているのでここまで行けば何とかなります。

郎木寺からザガナへ移動

郎木寺の中心部に乗合タクシー乗り場がありますが、今はザガナへの乗り合いは運行していないよう。

昨日 郎木寺まで乗せてくれたタクシーの運転手と話して、ザガナまで行ってもらえることに。

貸し切りだと相場は400元くらいらしいのですが、運転手からは「オフシーズンなので200元でいいよ」と言われました。ありがたいですが時間に対して流石に安すぎる気がしたので300元(約6,900円)で交渉成立です。

昨日の分岐を越えてザガナ方面へ。もう4月も終わりですが雪が降り始めました。

若尔盖ゾルゲとの分岐を過ぎるとすぐに峠道に変わります。この道路沿いにある謎の小集落も雰囲気がよさそう。

二時間ほどで景区の南門に到着しました。ここから少し走ったところにある遊客中心でチケットを購入します(80元、約1,700円。三日間有効)。

遊客中心の窓口ではチケットを購入できず、係員さんに手伝ってもらいつつ自分でウェブサイト(携程)から購入する必要があります(Trip.comでは取り扱いがなかった)。

窓口脇の道路を通る時にチケットチェック。以降、景区内ではチケット確認はありませんでした。

ザガナの中心部に到着。景区内には四つほどチベット集落があり、何泊かしての観光が一般的です。

村はうっすら霧に包まれて神秘的な雰囲気です。これまで東チベットを北上してきて薄々気づいてはいたんですが……もっと暖かい時期に来た方がいいな。

翌日のザガナ。ランドマークとなる巨大な岩山の下にチベット集落が広がっています。

今日の宿は「崖岸18°·全视野日出·晨雾观景美宿」で一泊約9,100円。少し高いですが眺めが良さそうなところにしました。

ベランダにはブランコが置かれています。ベランダはガラス張りのため、日中は太陽の熱がたまって暖かく落ち着けます。

ザガナは雨崩や稲城亜丁とかと比べると外国人にはそれほど有名じゃないと思いますが、村の中はある程度観光地化されておりホテルや食堂が立ち並んでいます (僕が行ったときは食堂はまだ閉まっているところが多かった)。

ザガナの日の出。特に狙ったわけじゃないですが、太陽がちょうど岩峰にかかって神々しい。

ザガナでのトレッキングルート

ザガナでは周囲の岩山をめぐるトレッキングが有名で、日帰りでも楽しめるコースがいくつかあります。

他にも、数泊かけて山々を縦走していくルートもあるようです。

1. 仙女灘・仙女湖ルート

  • 主な経路: 東哇村➔ 仙女灘➔ 仙女湖
  • 距離 / 所要時間: 約3〜5km / 約1.5〜2.5時間
  • 難易度: ★☆☆☆☆
  • 見どころ・特徴: 整備された木道を登り、チベット集落と背後にそびえる石峰群の大パノラマを一望できる。

2. 潤吾溝ルート

  • 主な経路: 業日村➔ 潤吾溝入口➔ 峡谷エリア➔ 渓流エリア➔ 入口
  • 距離 / 所要時間: 約6〜8km / 約2.5〜4時間
  • 難易度: ★★☆☆☆
  • 見どころ・特徴: 渓谷を抜け、周囲の巨大な岩山を一望できるU字谷を回る周回ルート。

3. 大石門・石林ルート

  • 主な経路: 東哇村 ➔ 大石門➔ 一線天➔ 石林
  • 距離 / 所要時間: 約14〜16km / 約5〜7時間
  • 難易度: ★★★☆☆
  • 見どころ・特徴: 切り立った巨大な岩壁の回廊を抜け、カルストの奇岩群が広がる石林エリアを目指す。

4. 石林・那鬧峡谷ルート

  • 主な経路: 東哇村 ➔ 那鬧峡谷 ➔ 保那西牧場 ➔ 石林 ➔ 一線天 ➔ 大石門 ➔ 東哇村
  • 距離 / 所要時間: 約20〜22km / 約7〜9時間
  • 難易度: ★★★★☆
  • 見どころ・特徴: 大石門・石林ルートを含め、その先にある牧場や峡谷を一周する長距離ルート。

僕は一日目に「仙女灘・仙女湖」「潤吾溝」を徒歩で、二日目に「石林・那鬧峡谷」を馬で回ることにしました。

潤吾溝

10時頃に潤吾溝の入口へ。村や主要な観光スポットは車道とは別で遊歩道が整備されています。

潤吾溝の入り口。谷の間にうっすらと遊歩道が見えます。

潤吾溝はループになっているので好きな方向から回れます。

右手側(上の写真の谷)は傾斜がきつそうだったので、フラットそうな左側から時計回りで回ることに。ループなので結局どこかで登らなくてはいけないのですが……。

時計回りだと最初は谷の間の遊歩道を歩いていく感じです。遊歩道自体は整備されていますが、ところどころ水に打たれたりと自然を感じられます(めちゃ冷たい)。

しばらく歩くと視界が開けたU字谷に出ます。

周囲はほぼ360度迫力ある岩山に囲まれており、この辺の景色が一番いい。

さらに遊歩道を歩いて行くとなだらかな登りに。 

峠というか小山を越えたあとは、葛折りの山道を降って入り口へ戻ります。一部崩れてましたが全体としては整備された道です。

この降りはそこそこ急なので、こっちから登る方がきつそう。

のんびり歩いて、二時間弱でルートを一周できました。歩いている人は他に誰も見かけませんでした。

仙女灘・仙女湖

麓の村から丘の中腹にある湖までなだらかに登っていくルートです。こちらもほぼすべての区間で遊歩道が整備されています。

仙女灘。ちょっと開けた草原って感じです。

30分弱でゴールの仙女湖に到着。湖は思ったより小さいですが、湖面に映る岩山が美しい。

ルート中からのザガナの眺め。僕が泊まっているのは左手奥の村で、ここから戻るのにまた歩いて一時間くらいかかります。

石林・那鬧峡谷

二日目は「石林・那鬧峡谷」ルートへ行きます。ここは徒歩のほか、馬で回ることもできます。

どちらにするか迷いましたが、看板のルート案内を見るとルート全体の距離は30キロ。標高差も800~900mほどあるらしいので、今回は馬に乗ることにしました(700元、約1.6万円)。

(実際は30kmはなく20kmちょっとのよう。看板ではなぜか他のルートもだいぶ長めに書かれている)。

御者のおばちゃん。それぞれ馬に乗って行くのかと思いきや、おばちゃんは歩きです。

しばらくは仙女灘へ登っていく舗装路を歩きます。

渓谷へ。この辺は日があまり当たらないせいか、川も凍っておりめちゃくちゃ寒い。

狭い峡谷を抜けたあとは雪山に囲まれた谷へ。

おばちゃんは全く休憩せず黙々と歩きます。

三時間ほどで牧場に到着。この辺が一番標高が高く3,800mほど、距離的にも折り返し地点です。

あたりは一面の雪原です。この辺の景色が一番いい。

さらに30分ほど歩いて石林に到着。

「大石門・石林」ルートのゴールになっている場所ですが、石林の規模はそんなに大きくないためここを目的地にするのは微妙かも。

途中、おばちゃんからカプセ(卡塞)という揚げ菓子みたいな食べ物をもらいます。人間だけでなく馬とも共用の行動食みたいな感じです。

谷を降っていくと少しずつ緑が増え、人の世界に帰ってきた感じがします。

6時間ほどで入口に戻ってきました。一周の間、他の誰とも会いませんでした。

コースタイムは7〜9時間くらいらしいのですごいペースだな。おばちゃんも馬もルート中まとまった休憩は取らず、ほぼ一定のペースで歩き続けていました。

僕は馬に乗ってただけなんですが、道が荒れているところで踏ん張っていたせいか馬から降りると足がガクガクきました。

明日は合作という街へ移動し、夏河にあるラプラン寺を日帰りで観光します。