百済の都 扶余(プヨ)へ移動 (2025/5/24)

韓国

アニョハセヨー。今日は光州から扶余へ移動しました。

韓国の扶余(プヨ)は忠清南道にある歴史的な都市で、6世紀中頃から660年にかけて古代国家・百済の首都「泗沘(サビ)」として栄えました。百済は朝鮮半島南西部を支配した三国時代の一国であり、日本との交流も盛んでした。

特に扶余時代の百済は、日本に仏教・漢字・先進技術などを伝えたとされ、「渡来人」の多くも百済出身でした。660年に百済は唐・新羅連合軍により滅亡しますが、日本はこれを支援しようと「白村江の戦い」で援軍を送ったことでも知られています。

扶余へ

今日の目的地である扶余は観光地であるもののそこまで大きくはないため、光州からは直接移動できません。速そうなのは扶余へは以下のようなルートです。

  • 高速列車(ITX)で光州から論山(ノンサン)へ
  • 郊外バスで論山から扶余へ

ITXというのは韓国の高速列車のひとつです。韓国の高速列車は速いものから順にKTX > SBT > ITXと種類が分かれており、同じ路線に複数種別の高速列車が走っている感じです。日本の新幹線と特急のように線路は分かれておらず、同じレールの上を走ってます。

大部分の高速列車はホテルに近い光州駅ではなく街の西側にある光州松汀駅から発車します。日本でも新幹線駅と在来線駅が分かれているような感じなのでしょう。

光州松汀駅までは地下鉄か路線バスで行けるのですが、荷物を持っての移動なので比較的スペースに余裕がありそうな地下鉄にすることに。ホテルから地下鉄駅は少し離れているため、タクシーで移動します。

コンビニで軽食を済ませた後、配車アプリのk.rideで配車。料金をみると先日バスターミナルからホテルまで移動したときと比べると距離が短いのに若干高いです。配車手数料+運賃にも多少手数料が乗っているっぽいですね。それでも日本よりは安くて気軽に使える金額ですが。

タクシーから地下鉄に乗り継いで、光州松汀駅まで20分ほどかかります。ちょうど二駅目で座れたので助かりました。

光州松汀駅へは列車発車の30分ほど前に到着。流線型の建物が結構いいです。

駅の電光掲示板に乗車予定の列車は表示されているのですが、発着ホームがわかりません。到着直前にホームが決まる方式なのかな?と思って少し待ちます。

発車時刻が近づいてきたので、いちおうINFORMATIONの人に聞いていたタイミングでちょうどホーム表示が更新されました。だいたい15分前くらいに到着ホームがわかるようです。

韓国の高速列車には改札はないので、そのままホームへ向かいます。ホームに行くとホームに行先方面の都市名は書いてあったので、毎回ランダムではなく行先でだいたい決まっているようでした。

少し待っていると、乗車するITXがやってきました。

ホーム位置が随分低くて、列車に乗る時に階段を登る形。これだと工事の時は材料も少なくて済んで簡単なんでしょうが、老人や体が不自由な人は大変ですね。ホームには車椅子を押し上げる昇降機みたいなのが置いてあります。

座席はそこそこ広く、コンセントもあって快適です。

ITXに1時間30分ほど乗って論山へ。論山の駅からバスターミナルは徒歩で10分ほどと少し離れています。

論山には高速バスターミナルと市外バスターミナルの二つがありますが、扶余へいくのは市外バスターミナルの方(市外ターミナルのほうが駅から近い)。駅の出口はバスターミナルと反対側にしかないので、陸橋で線路を超えて反対側に出ます。

13:40ごろに市外バスターミナルへ到着。薄暗くてさびれた感じです。

自動券売機でチケット購入。ここの券売機は日本語も対応してました。窓口が閉まっていたので韓国語のみ券売機ならチケット買えずピンチでした。

チケットには時刻も席も印字されていない先着順乗車方式。高速バスでない市外バスは基本この方式なのでしょうか。時刻表を調べると次のバスが20分後の14:00。その次は15:00。だいたい一時間ごとに発着しているようです。

昼食を取りたかったのですが、普通の食堂にいくと20分では厳しそう。ここは軽く食べることにして、ターミナルに併設されているビルのダンキンドーナツへ。併設といっても店舗に入るために一度外を通らなければいけないのですが、そのタイミングで小雨が降ってきました。

軽食を済ませてターミナルへ戻ります。バスは発車予定時刻の5分前くらいにやってきました。土曜のせいもしれませんが、席は7割くらい埋まっています。

扶余へは30分ほどで到着。ここ最近は2〜3時間の移動が多かったため一瞬に感じました。

ホテルまでは1kmないくらいですが、まだ雨が降っているためタクシーで移動。チェックインが17:00からなので、荷物を置いて観光に行くことにします。

扶余を観光

まずは町の南にある宮南池へ。

宮南池(クンナムジ)は、韓国忠清南道扶余にある百済時代の人工池で、韓国最古の庭園池とされています。7世紀頃、百済の王宮の南に造られたことから「宮南池」と呼ばれました。現在は四季折々の花が咲く美しい公園として整備され、特に夏の蓮の花が有名です。池の中央には小島と橋があり、散策に人気のスポットです。

救命用具があります。濁っていて底は見えません。人工池なので浅いと思ってたのですが、溺れるほど深いのでしょうか?

宮南池には、昔 王宮の南側に住んでいた女性が宮南池に住む竜の子供を産んで、それが百済の30代武王である、みたいな伝説が伝わっているそうです。年代的には日本に仏教が伝来したときの王(聖明王)より後なので民間伝承にしてもだいぶ神話的だなと思っていたのですが、調べてみるとこの伝承は薯童説話として複数の民間伝承が複合形成されたもののようです。

続けて国立扶余博物館へ。ここは百済時代の瓦や仏像などの展示があり非常に良かったです。

メインは百済金銅大香炉という国宝で、一部屋使って展示されています。

百済金銅大香炉は、百済王朝の泗沘(サビ)時代に作られた国宝第287号の貴重な遺物です。高さ約64cmの金銅製で、華麗な装飾が施されています。香炉の頂には鳳凰がとまり、蓋部分には山々の峰が精巧に表現され、神仙世界を象徴しています。峰の間には孔があり、香煙が美しく立ち昇る仕組みになっています。その美しさと優れた工芸技術は、百済文化の精華を示すものとして評価されています。

個人的によかったのは王興寺舎利器。これも国宝で、王興寺という寺の木塔の礎石の中から2007年に発見されました。3層の入れ子構造になっていて、577年の威徳王(博物館の日本語訳だと昌王となっていたが、たぶん別名の余昌を指している?)の時代に安置されたものらしい。

夕食までは少し時間があったので、近くにある「百済香」というカフェで宮南池にちなんだ蓮の葉のお茶とパン。甘い香りでハーブ茶に近い感じがします。パンにも蓮が使われているそうですが、こしあんの中に入ってるのかな?

夕食はカフェすぐ近くのサビ麺屋という食堂へ。日本語メニューはありませんが、タブレットのメニューに写真が載っていてわかりやすいです。

水冷麺(1,000ウォン)と肉団子(600ウォン)で16,000ウォン(1,600円)。

麺はシャーベット状になったスープに極細素麺みたいなのが入っています。麺は固まっているので、適当にハサミで切って食べます。綿の食感はコシというかプリプリと弾力があって予想外な感じです。

時間になったのでホテル「Healing House Peakjang」にチェックイン。チェックイン可能時間が遅めなのでラブホテル兼形式かなと思いましたが、普通の宿っぽい。一泊55,000ウォン(約5,500円)。

これまで泊ったホテルはどれも部屋がスマートロックだったのですが、ここは日本の昔の旅館にあるような鍵(プラスチックの棒と鍵がチェーンでつながっているやつ)でした。

明日も引き続き扶余を観光します。