ニイハオ!今日は太行大峡谷を観光します。

太行大峡谷
中国河南省林州市に位置する太行大峡谷は、太行山脈の南端に広がる壮大な渓谷地帯で、険しい断崖絶壁と豊かな自然が織りなす絶景で知られています。全長50km以上に及ぶこの峡谷は、特に王相岩や桃花谷、黒龍潭などの景勝地が有名です。
中でも高さ88mの螺旋階段「摩天筒梯」は、断崖に沿って建てられた登山用の鉄骨階段で、スリル満点の眺望が楽しめます。周囲は森林に覆われ、春は桃や桜、秋は紅葉が渓谷を彩り、四季折々の魅力があります。
中国国内では屈指の規模と美しさを誇る、まさに中国版グランドキャニオンとも言える景勝地です。
下図のとおり、太行大峡谷には大きく四つの景区があります。地図の右側から、
- 桃花谷: 峡谷の沢に沿ってトレッキングができるエリア
- 太行天路: 谷の上を観光車で回れるエリア
- 王相岩: 谷の合間や崖沿いをトレッキングできるエリア
- 大峡谷漂流: 渓流でラフティングできるエリア

地球の歩き方には桃花谷と王相岩が紹介されていますが、ハイライトは太行天路だと思います。また、桃花谷と太行天路は隣接しているため、桃花谷→太行天路の順で回るのが効率的です。
チケットは景区の入場料が80元、旅客中心-桃花谷-太行天路の往復バスが60元で、合計140元(約2,800円)になります。といっても、往復バスチケットなしで桃花谷へ歩いて入ることはたぶんできません(僕は往復バスチケットの存在を知らなくて桃花谷で止められました)。入場料だけでいけるのは王相岩と(たぶん)大峡谷漂流とかじゃないかと。
王相岩
ホテルは桃花谷と王相岩の間くらいにあるので、僕は王相岩→桃岩谷の順で回ることにします。
桃花谷と王相岩の間は路線バスも走っており、ホテルから少し歩いた場所にもバス停があります。ですが、バスの時間がよくわからなかったのでとりあえず歩いていくことにしました。ホテルから30分ほど歩くと王相岩エリアの入口に着きました。
入口のチケット売り場でチケットを買おうとすると、係員から「チケットはここで買えない」と言われましたが理由がよくわかりません。隣の係員に聞いたら普通に買えました(80元≒1,600円)。何だったんだ。
地図をみると、王相岩のエリア内をぐるっと一周するトレッキングルートがあるようです。写真の左側の岩山の中央下あたりに崖に沿って登っていく桟橋が見えます。ここを歩いていくのか。

8:20ごろに入山。桟橋へと向かう山道を登っていきます。途中で牧馬坂という山道を登ります。この名前は殷の武丁に由来するらしい。当時からこんなところまで人(というか王)が来てたんだなあ。

8:45ごろに天空桟橋に到着。桟橋は遠目からは木の板に見えましたが、実際にはコンクリで固められているので高度感はそれほどありません。


天空桟橋を抜けると谷を見渡せる展望台があります。そこからしばらく気持ちのいい林道が続きます。


9:45ごろに、崖に沿って建てられた330段88mの螺旋階段(摩天筒梯)へ。この作り頭おかしいんか。これには登らずに下山していくルートもあるのですが、せっかくなので登ってみます。

摩天筒梯が作られたのは2000年。すでに作られてから25年とそこそこ年数が経過しています。登り始めこそ余裕があっても、登っている時間が長いので「階段が傾いて折れたら」とか「足場に張られた板が割れたら」とかだんだん不安になってきます。緊張のせいか登り終わったときには喉カラカラでした。

ここからは崖をくり抜いた通路を歩いていきます。一部は屈みこまないと進めません。

崖を抜けた先にジップラインがありました。中国のジップラインとかめちゃくちゃ怖いしやってみようかと思いましたが、覗いてみると入り口が閉まっていました。残念なようなほっとしたような。

そのまま歩き続けて、崖の向こう側に着いた頃にジップラインが動き出しました。おそらく時間的には10時から営業開始だと思います。
そのまま下山道を歩いて、10時半ごろに麓に着きました。だいたい2時間~2時間半くらいで一周できそうです。

次の目的地である桃花谷までは3kmほど離れています。ちょうど王相谷を出たところにいたタクシーの運転手と話して、15元(約300円)で行ってもらえることに。距離に対しては少し高いものの、他に車を捕まえるあてがないので全然いいです。
このタクシー、表示は「有客」のためおそらく貸切で、客のトレッキング中に1~2時間暇なので小遣い稼ぎしている感じだと思います。短距離の移動なら「有客」でもあきらめずに聞いてみるのがよさそうです。
運転手さんは僕が「日本人だ」と何度言ってもひたすら韓国語翻訳を使って韓流ドラマのことを聞いてきたのであまり会話になりませんでした。翻訳が間違ってなければ、この峡谷が舞台になったドラマがあるようなことを言っていた気がします。
太行天路
桃花谷の入口に着き、先ほど購入したチケットで入場しようとすると係員から「バスチケットが必要だ」と言われ止められます。バスチケット60元(約1,200円)。

おそらく以下のルートの上をバスと観光車が走っています。かなりの台数が循環しているので、ほとんど待たずに乗れます。
- 旅客中心 → 桃花谷入口 → 太行天路入口 → 太行天路終点
- バスは太行天路入口までしか行かない。バスの場合、太行天路入口で観光車へ乗り換えが必要
- 太行天路終点 → 旅客中心
桃花谷はトレッキングルートになっています。エリア内は自由に歩けるわけじゃなく、入り口から出口への一方通行のみ。出口は太行天路の入口に隣接しています。そのため、桃花谷→太行天路の順で回るのが良いです。
僕は最初は上のルールを知らなかったので、まず太行天路へ行きました。入口のすぐ前からバスに乗れます。

途中の太行天路入口で小回りの利く観光車に乗り換えます。進行方向左手が谷になるため左側に乗った方がいいです。僕は運よく最後尾の後ろ向き席、進行方向に対して左側に乗れました。

道路上は制限20kmの標識がありますが、最初から守るつもりないだろというくらいにはスピード出します。カーブでは遠心力がかかってちょっとしたアトラクションのようです。曲がるたびに中国人の子供となぜか乗っているペットの犬2匹が絶叫していて笑ってしまいました。

観光車はいくつかのスポットに停車するので、降りて次に乗り換えて進む、という感じで観光できます。


各スポットでは露店が出ていて、お土産や漢方みたいなの売ってます。峡谷の中には小さな集落もあるのですが、まあこれくらいしか産業ないよなあ……。

太行天路の終点付近にスカイウォークがありました。こういうアトラクションは今後のルートにはしばらくないのでやってみます。入場料50元(約1,000円)。靴の上からガラス保護用のカバーをつけて入ります。

これも最初は余裕かなと思いましたがめちゃくちゃ怖い。中国ではたまにこういうのが壊れて人が亡くなるニュースを見るので、日本と違い安心して身体を預けられない恐怖があります。途中からはガラスの端で下に支柱がありそうなところだけを歩いてました。

終点から観光車で戻っていく途中、道の真ん中で自分の観光車を止めて寝てる運転手さんがいました。寝るのはいいけど、こんな堂々としてて同僚に何か言われないんでしょうか。自由だなあ。
桃花谷
帰り道の途中、桃花谷入口で降ろしてもらいます。ここは沢の脇にトレッキングルートが整備されており、沢沿いを歩けるようになっています。ルートはなだらかな登りで、王相谷と比べるとだいぶ楽です。
12:45ごろにトレッキングルートに入ります。近くを水が流れていると涼しいです。

ここでは各所で映え写真を撮っているグループが目立ちました。

王相谷は峡谷全体の眺めやちょっとしたスリルを楽しむ感じなのに比べて、こちらは沢や谷の風景を楽しむ感じでしょうか。

13:30ごろに再び太行天路入口のバス乗り換え所に着きました。
ここから入口へ戻る人はあまりいないようで、太行天路から帰ってくる観光車も普通は素通りします。係員さんに入り口へ戻りたいことを伝えると、帰りの観光車を呼び込んで捕まえてくれました。
太行大峡谷から安陽へ
さて、後は安陽へ帰るだけです。
行きに林州バスターミナルでみた観光バスに乗るために観光案内所で聞いてみます。結果よくわかりませんでしたが次は17:30発のようです。旅客中心の出口で見つけたバス停には、林州行は一日二本とも書いてあります。
行きに林州バスターミナルでみた時刻表はもうちょっと本数あった気がするんだけどな……これは推測ですが、太行大峡谷のなかでバス停がわかれていて、旅客中心から発車するのは一日二本とかそんな運用なのかもしれません。
いずれにせよ17:30まで待つ気はしないのでタクシーで帰ります。その辺にいた白タクの運転手と話して、60元(約1,200円)で林州バスターミナルまでへ行ってくれることに。来た時のメーター料金からは妥当な金額な気がしますが、白タクなので交渉すればもう少し安くなるかもしれません。
この運転手さんの運転がまあまあ荒い。一般車だけでなくパトカーにもクラクションして抜かしていきます。中国では公安はもっと怖がられているかと思っていました。
1時間ほどで林州のバスターミナルへ到着。おばさんがバスターミナル入り口前で「あにゃん~あにゃん~」と安陽行きの呼び込みをしています。これが公式バスなのか闇バス(?)なのか謎なのでターミナルに入ってチケットを買います。

次の安陽行きは15:00発。出発時は空席がありましたが、ターミナルを出たところから乗ってくる人が多く満席に。多分入り口のおばさんの呼び込みで集まっていた人でしょうか。どうせすぐそこから乗ってくるなら、ターミナルと分けて呼び込みする意味あるのかな?満席で座れない可能性があるので、普通にターミナルの中で買った方がいいと思います。
バスは一時間半ほどで無事安陽へ帰り、一昨日泊まったホテルにチェックイン。
夕食は近くの食堂「沙县小吃」へ。「红烧牛肉面」と「营养瓦罐汤」という麺とスープのセット定食を頼みました(28元、約560円)。

食事中、すごい大きい虫が飛んできたなと思ったら扇風機からのホコリでした。これが食事の中に入ったら流石に食べられないな。
明日は、安陽郊外にある曹操の墓へ行ってきます。