ニイハオ!今日は殷の遺跡である殷墟を観光します。
安陽市内から殷墟へ
殷墟(いんきょ)は、中国河南省安陽市に位置する、商(殷)王朝後期の都城遺跡で、紀元前1300年頃から約250年間にわたり使用されました。
ここは中国最古の成文文字である「甲骨文字」が発見された地としても有名で、王族の占いや政務の記録が刻まれています。発掘調査により、王宮や宗廟、巨大な王墓群、青銅器や玉器を収めた副葬品などが見つかり、当時の高度な都市文明を今に伝えています。
特に殷王武丁の妻 婦好の墓からは武器や礼器が多数出土し、当時の社会における女性の地位を示す重要な資料となっています。殷墟は2006年にユネスコ世界文化遺産に登録され、中国古代文明を体感できる歴史的観光地として、多くの訪問者を集めています。
殷墟には大きく3つの観光エリアがあります。
- 殷墟博物館
- 宮殿宗廟遺址区
- 王陵遺址区
この3つの観光エリアはそれぞれ離れており、エリア間をバスが走っています。まあ遺跡は昔の都の一部なので広いのは当たり前なのか。殷墟博物館も発掘の邪魔にならない離れた位置に作ったのでしょう。
殷墟博物館は2024年に新館としてオープンしたため、現時点の地球の歩き方(2020年版)には載っていません。僕は流し読みして2エリアだけだと思っていたのでちょっと混乱しました。
入場料は全部セットで120元(約2,400円)です (別々に買うと博物館80元, 遺跡2個セット50元)。学生料金は18歳以下のみなので僕は該当しません。
殷墟まではホテル近くの幹線道路から15分おきくらいで路線バスが出ているようです。せっかくなので路線バスで行ってみることにします。まずはバス停まで5分ほど歩きます。

中国の二輪用レーンは原則一方通行なのですが、普通に逆走してくるやつもいたりどういう交通ルールなのか謎です。少なくとも、逆走する場合は歩道を走ってもいいなんてルールはないのでは?

バス停でしばらく待っていると乗りたいバス(14路)がきました。運賃は1元(約20円)。タクシーでも駅から博物館までは10元(約200円)以下で行けるので、好きで乗りたい人以外はタクシーのほうが楽です。

殷墟博物館へは「殷墟博物館停留所」で降りればすぐです。バスを降りるときには出口近くに立ってアピールしていると止まってくれます。バスの降車ボタンは出口の脇にあるものの、中国人が使っているのをほぼ見ません。僕はいちおう毎回押していました。

殷墟博物館
チケット売り場で入場券を買って、博物館へ向かいます。一遺跡のローカル博物館かと思ったら、ちょっと驚くくらい大きいです。

謎に博物館前で待っている人たちがいたので開館がまだなのかと思ったら、普通に開いてました。
博物館では説明聞きながら回りたいのでオーディオガイドを借りました(25元、約500元)。貸出機でAlipayで支払いすると、係員さんが本体とイヤホンを貸してくれます。中国語と英語のみ。
殷墟博物館は3フロアあり、ちゃんと説明聞きながら回ると半日以上はかかると思います。収蔵品や遺跡自体の解説はもちろん、当時の戦争や庶民の暮らしなどテーマ別の展示もあって楽しめます。
殷の歴代の王に関する説明がある部屋。僕は殷については漫画版 封神演義くらいしか知らないので、その登場人物を探します。どうもこの帝辛が漫画の敵役である紂王らしい。解説には、漫画でも描かれた酒池肉林とか残酷な刑をしたとか書いてあります。「牝鸡司晨(ひんけいししん)」というのは中国の成語で、王朝を女性(妲己)が実質的に支配しており秩序が乱れていることを指すそう。自分の愚行が史実として残るのネットタトゥーどころではなく嫌すぎる。

館内には非常に多くの収蔵品が展示されており、主要なものにはオーディオガイドでの説明がついています。このオーディオガイド、位置によって近い展示の解説へ強制的に切り替わります。僕は解説聞きながら別の展示を見たりするのでちょっと不便です。

亀甲文字。実物の展示だけでなく亀甲を読み解いた内容が書かれていて、「これはxxという事象と一致する」みたいな解説があります。殷が滅んだのは前1046年、現存する最古の史書(尚書)が前3世紀ごろと言われているので数百年くらいの空白期間があるはずですが、事象を紐づけられるってすごいな。それだけ書物の記載が正確だったのか、それともこの背後に紐づけできていない膨大な遺物があるのだろうか。

館内一室を使って、戦車の埋葬の様子やらが展示されています。

戦車の副葬品。結構彫刻が細かく、実物はかなりきれいです。

館内にはアート展示的なスペースもあります。亀甲文字はなんというか異世界感があっていいですね。

宮殿宗廟遺址区
一通り見たので次は遺趾区に行ってみます。博物館から近いのは宮殿宗廟遺址区です。博物館出口からバスが出ており、運賃はチケットに含まれています。僕がバスに乗り込むと、乗客一人でしたがすぐ発車してくれました。

数分走って宮殿跡へ。ここではかつての宮殿の遺構が見られます。

ここには殷時代の建物跡なんかがあります。奥に見える穴は「灰坑(かいこう)」という古代のゴミ捨て場。

また、ここには婦好(妇好)墓という第23代皇帝武丁の妃の墓があり、中に入れます。

王陵遺址区
宮殿から王陵遺址区へもバスで移動します。この区間のバスは本数が限られており、1時間に1本程度。この運賃も入場チケットに含まれています。

僕は時間の合う12:00のバスで行くことにしました。遺跡入口のバス停で少し待っているとミニバスがやってきました。
地図だと王陵までそれほど距離がないように見えますが、博物館のほうへ戻る形で大回りするのと、途中からは車一台幅の農道を通っていくので15分ほどかかります。帰りのバスが12:45発なので、実質的な見学時間は30分ほどです。
博物館-宮殿間は歩けますが、王陵まで歩くのはちょっと無理ですね。バスの時間が合わなければタクシーで行ったほうがいいでしょう。
王陵では、墓の外観といくつかの墓の内部が見られます。
といっても外観を地面から見てもよくわかりません。墓の形に植え込みがされているので上から眺めたいのですが、遺跡地図の「展望台」と書かれた場所へ行ってもそれらしきものはありませんでした。
たまたま敷地内にあった発掘現場の廃土に登って良さそうだったので、その上から全景を眺めます。矩形で切られた区画にそれぞれの墓がある、というわけでなく、お互いの墓の十字形が組み合わさるようなレイアウトになっています。

脇にはいくつかの墓内部の様子を展示した建物があります。これは実物展示らしく、博物館で予習したものを生で見られるのはいいですね。馬の骨の向きとか説明の通りだと感動していました。発掘時には細かい装飾品がもっとたくさん付いていたのかなあ。

時間になったのでまたバスで帰ります。バスは宮殿との往復になるのですが、通り道である博物館前で降ろしてもらいました。
この後は隣の林州郊外にある太行大峡谷へ向かいます。

